最新記事

米暴動

トランプの対米デモ「武力鎮圧」発言に習近平「高笑い」

2020年6月4日(木)22時36分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

中国と何が違うかと言えば、この姿だろう。中国には絶対にあり得ない光景だ。

ここには民主と平等の理念が根付いている。

アメリカにはまだ救いがあると思った瞬間だ。

民が政権を選択することが許されているのが民主主義国家の根幹にある。

どんなに言論弾圧をされようと、どんなに不平等が横たわっていようと、民主主義国家である以上、私たちには自分の国のリーダーを正しく選ぶ権利がある。

コロナが新しい「社会」を創っていく

コロナにより全人類は孤立を余儀なくされた。

しかし、リモート生活を強いられたことにより、そこには、だからこそ発信できる「個人の思い」と「個人の決断」があるように思う。

日本ではその発信によって黒川前検事長を辞職に追いやったし、安倍内閣に検察官の定年を延長する「検察庁法改正案」を諦めさせた。それは一つのハッシュタグ〈#検察庁法改正案の強行採決に反対します〉から始まった。

アメリカにおける抗議デモは実際にリアル空間に人々が出て「自らの意思」を表明したが、媒体はいろいろあっても、コロナは「個々人の思いを発信することによって社会を変えていく力」を、人類に与えてくれたように思う。

安倍内閣はトランプの「豹変」にいち早く気づき、「強い者には跪く」という「浅ましいまでの姿勢」で、ここに来て習近平国賓招聘をまだ諦めていない姿勢を再び表明し始めた。あとは日程調整の問題だけだとしている。

600万以上に及ぶ人類がコロナに感染し、10万人以上の感染者が尊い命を落とされた。

犠牲者は数ではない。どの一人にも尊厳があり、無念の思いがあったはずだ。

このような災禍をもたらした国の指導者を国賓として「ありがたく」招き、天皇陛下にも拝謁する。返礼として天皇陛下の訪中が強制されるのである。

強い者に跪く安倍内閣の浅ましさよ――!

安倍内閣は敏感に「ご主人様」の変化を感じ取って強い者に跪くのである。

どのようなことがあっても、せめて習近平国賓招聘のような事態は阻止したい。

トランプの強権的な武力鎮圧方針表明は、私たち日本人と無関係ではない。

このコラムを読んで下さった皆様お一人お一人の発信に期待したい。


※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

Endo_Tahara_book.jpg[執筆者]遠藤 誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『激突!遠藤vs田原 日中と習近平国賓』(遠藤誉・田原総一朗、実業之日本社)、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』、『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。

この筆者の記事一覧はこちら

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米11月中古住宅販売、0.5%増の413万戸 高金

ワールド

プーチン氏、和平に向けた譲歩否定 「ボールは欧州と

ビジネス

FRB、追加利下げ「緊急性なし」 これまでの緩和で

ワールド

ガザ飢きんは解消も、支援停止なら来春に再び危機=国
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 8
    【独占画像】撃墜リスクを引き受ける次世代ドローン…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中