最新記事

中国

習近平、トランプにひれ伏したか?徴収した報復関税の返還命令

2020年5月15日(金)21時50分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

強い者には今の段階では腰を低くしておいて、弱い者(中国から見ればオーストラリア)には強硬策に打って出て、言うならば「でかい態度」を取る。まるで「弱い者いじめ」で、そのようなことをする国こそ「弱虫」だと思うが、これがなかなかの曲者。ひれ伏した「ふり」をしておいて、やがてアメリカを乗り越える算段を胸の中ではしているのが中国という国だ。

「8ヵ国聯合」が「100ヵ国聯合」にならない内に、「束」では崩せないが、その中の崩しやすい国を一つずつ切り崩していこうというのが中国の魂胆である。

オーストラリアは見せしめ

オーストラリアの最大の貿易国は中国だ。輸出の40%は中国なのである。おまけに今般輸出停止を受けたこの4社は、肉製品の35%を占めている。この4社が輸出を禁止されれば、オーストラリアへのダメージは相当に大きい。肉製品以外にもオーストラリアはワインや小麦なども対中輸出しており、その額は中国からの輸入の2倍に相当する。またオーストラリアにいる外国人留学生も40%が中国人なので、感情的に「嫌豪」が広がれば、オーストラリアの痛手は大きい。

となると、もしかしたらオーストラリアが寝返るかもしれないと、中国は虎視眈々と戦略を練っているわけだ。こうすれば対中損害賠償要求という運動が世界に広がっていくのを食い止められるかもしれないという寸法なのである。他の国への「見せしめ」の一つと位置付けると、この先が見えやすいかもしれない。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

Endo_Tahara_book.jpg[執筆者]遠藤 誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『激突!遠藤vs田原 日中と習近平国賓』(遠藤誉・田原総一朗、実業之日本社)、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』、『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。

この筆者の記事一覧はこちら

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米セールスフォース、1000人未満の人員削減実施=

ワールド

ウィリアム英王子がサウジ公式訪問、ムハンマド皇太子

ワールド

マクロスコープ:さまよう「中流票」、選挙結果の振れ

ワールド

中国が香港安全保障白書、本土政府の「根本的な責任」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業績が良くても人気が伸びないエンタメ株の事情とは
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 7
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 8
    「二度と見せるな」と大炎上...女性の「密着レギンス…
  • 9
    衆院選で吹き荒れた「サナエ旋風」を海外有識者たち…
  • 10
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 5
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 8
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中