最新記事

感染症

(昨年11月記事)中国で2人がペスト感染でパニック、不安訴えるSNSは削除され......

2020年5月4日(月)11時40分
松丸さとみ

中国で相次いでペスト患者が発生している...... luismmolina-iStock

<2019年11月12日、中国で内モンゴル出身の2人が肺ペストと診断され、また17日、新たに腺ペスト患者が出ている......>

内モンゴル出身の2人が北京で隔離

「中世ヨーロッパの病気」というイメージのペストが、再び人々を恐怖に陥れている。中国でこのほど、2人がペストに感染していていることが確認され、北京の施設に隔離されたことが明らかになった。しかし感染の経路やタイミングがはっきりしておらず、北京の住民はパニック状態になっている。

ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によると、北京と内モンゴルの衛生当局は12日、内モンゴル出身の2人が肺ペストと診断されたと共同で声明を発表した。病気が発覚したのはいつ、どこでかは明らかにされていない。2人は北京の朝陽区にある医療機関で治療を受けている。

ニューヨーク・タイムズ(NYタイムズ)は、中国疾病管理予防センター(CDC)が、ペスト拡大の可能性は「極めて低い」として、中国版ツイッターの「微博(ウェイボー)」で13日、北京市民に落ち着くよう呼びかけたと報じている。

CDCによると、感染した2人はすでに隔離されており、患者と接触した恐れのある人も検査され、関連した場所などはすべて消毒済みだという。

ペストは、腺ペスト、肺ペスト、敗血症型ペストの3種類に分けられ、もっとも多いのは腺ペストで、80〜90%を占める(国立感染症研究所)。14世紀に欧州を中心に猛威をふるい、大量の死者を出したのは腺ペストだが、国立感染症研究所は、肺ペストを「もっとも危険なタイプ」としている。

患者の初診から病名発表まで9日間

内モンゴル出身の患者2人を北京で最初に診察したとされる北京朝陽病院のリー・ジフェン医師は、中国のソーシャルメディア(SNS)「WeChat(微信、ウィーチャット)」で、患者が治療を受けにきたのは11月3日だったと明かした。投稿の中でジフェン医師は、中年男性1人が同病院に来た時点ですでに、10日ほど熱や呼吸困難に苦しんでいたとしており、男性を看病していた妻も、似たような症状を見せていたと説明した。

夫婦が診断に訪れてから当局の発表まで9日もたっていたわけだが、その理由としてジフェン医師は、このような感染症はさまざまな機関が協力して、繰り返し検証・調査・報告を行う必要があると説明。公的な発表は正確でなくてはならず、簡単に行えないためだと述べた。

ジフェン医師の一連の投稿は他のユーザーによって拡散されたが、すでにすべて削除されているようだ。

ペスト患者が出たことそのものやジフェン医師の投稿が削除されたことなどから、中国のSNSでは不安を訴える投稿が相次いだ。WSJは、2002年と2003年に中国で300人以上が犠牲になった重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き合いに出す人も少なくないと報じている。米外交誌フォーリン・ポリシーは、SARS流行時、中国当局がこの北京朝陽病院に患者を隠していたからだと指摘している。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、JPモルガンとCEO提訴 デバンキング

ワールド

欧州は行動の勇気欠く、ゼレンスキー氏が批判 ダボス

ビジネス

米国債保有増、8割が欧州 25年に「米国売り」見ら

ワールド

米エネ長官、世界の石油生産倍増を提唱 グリーンエネ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 2
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレアアース規制で資金が流れ込む3社とは?
  • 3
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている「とてつもなく巨大な」生物...その正体は?
  • 4
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の…
  • 5
    老化の9割は自分で防げる...糖質と結び付く老化物質…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    ノーベル賞に選ばれなかったからグリーンランドを奪…
  • 9
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 10
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 9
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中