最新記事

ドイツ

ドイツの研究者、「免疫パスポート」発行を提案 素早い職場復帰を可能に

2020年4月6日(月)18時30分
モーゲンスタン陽子

ドイツ-ポーランド国境で体温を測る係官 REUTERS/Hannibal Hanschke

<ドイツの研究者たちは10万人を対象に抗体検査を行い、感染したが回復して免疫を獲得したことが証明された場合、「免疫パスポート」を発行し、一足先に職場に復帰できるなど、ロックダウン中の制限から解放させるプロジェクトを進めたいと考えている>

ドイツでは5日、新型コロナウィルスの新たな感染者が3日連続で減少した(ロベルト・コッホ研究所)。

一方、研究者たちは4月中に10万人を対象に抗体検査を行い、陽性反応が出た場合、すなわち感染したが回復して免疫を獲得したことが証明された場合、「免疫パスポート」を発行し、一足先に職場に復帰できるなど、ロックダウン中の制限から解放させるプロジェクトを進めたいと考えているようだ。

ロックダウンから人々を解放できる?

このプロジェクトは、ロベルト・コッホ研究所やドイツ感染症研究センターなど、複数の研究所や研究者によって提案されている。

シュピーゲルによると、プロジェクトはまだ最終的には承認されていないが、研究者たちは4月中に 10万人以上の被験者を検査し、またパンデミックの進行状況を監視するために、定期的にテストを繰り返すことを提案しているという。もし実現すれば、学校やイベントなどを再開する時期の目安にもなる。

ただし、現在利用可能なテストは、成人の90%が抗体を保有しているCovid-19以外の無害なコロナウィルスにも反応する場合があるという。2、3か月のうちにより正確なテストが望まれている。

テストの数が重要

ドイツは5日CEST20時現在、感染者数にして世界上位4位だが、死亡率の著しく低いことで世界的に注目されている。死亡率は約1.5%で、イタリアの約12%、スペインの約9%と比べるといかに低いかがわかるだろう。これは、メルケル首相指導のもと早くから徹底して検査が行われてきた成果だと言われている。とくに若い人を率先してテストしてきたことが功を奏したようだ。

ドイツの感染は2月末、大勢の若者たちが休暇を楽しんだ北イタリアのスキーリゾートから帰ってきたあたりから広まった。感染者の平均年齢も46歳と、イタリアの63歳に比べ、かなり低い。

ドイツのヘルスケアシステムは充実しており、患者10万人あたりの集中治療ベッドの数はヨーロッパ最多だ。3月末からはイタリア、フランス、スイスなどからも患者を受け入れている。

免疫の有効期間は未知

「免疫パスポート」もイギリスなどで注目されており、追随しようという声もある。しかし、医療従事者などに適応される可能性はあっても、全国レベルでの導入は難しそうだ。

ガーディアンによると、国会議員で元外科医、ワクチンの全党議会グループの議長でもあるフィリッパ・ホイットフォード博士は、Covid-19に対する免疫がどれだけの期間持続するかは不明だと言う(コロナウィルスの一種であるSARSに感染した人は1年程度の免疫しか得られなかった)。

また、呼吸器ウィルス脅威顧問グループのピーター・オープンショー教授も、未知のウィルスである限り、部分的な免疫かそうでないのか、どれくらいの期間持続するのかなどは断言できないと言う。

仮に「免疫パスポートが」暫定的に導入されたとしても、その後の継続的なモニタリングが必要となるだろう。さらに、ロックダウンから早く抜け出したい若い人などがパスポート目当てにわざと感染する、などという懸念もある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

スイス、イラン攻撃中は企業の対米武器輸出許可せず 

ワールド

サウジアラムコ、4月もアジア向け原油供給削減 2カ

ワールド

IEA、必要なら石油備蓄追加放出へ 各国政府と協議

ワールド

ブラジルのドゥリガン新財務相、前任者の政策継続へ 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記者に、イスラエル機がミサイル発射(レバノン)
  • 3
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 4
    スウェーデン次期女王ヴィクトリア皇太子、陸軍訓練…
  • 5
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    「胸元を強調しすぎ...」 米セレブ、「目のやり場に…
  • 8
    人気セレブの「問題ビデオ」拡散を受け、出演する米…
  • 9
    「筋力の正体」は筋肉ではない...ストロングマンが語…
  • 10
    BTSカムバック公演で光化門に26万人、ソウル中心部の…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 9
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 10
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中