最新記事

感染爆発

米、新型コロナウイルス死者急増3900人で中国を抜く 主要都市は病床確保に奔走

2020年4月1日(水)15時47分

米国では新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。写真はニューヨークで3月撮影(2020年 ロイター/STEFAN JEREMIAH)

米国では新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。ロイターの集計によると、全米の死者数は31日に850人以上増え、1日の死者数として最多を記録した。医療機関の患者受け入れ能力は限界に達しつつあり、当局は臨時病院の設置などで病床確保に奔走している。

31日の死者の約半数を占め、特に感染拡大が深刻なニューヨーク州では、デブラシオ・ニューヨーク市長が最悪期は数週間先になるかもしれないとの見方を示し、トランプ政権に追加支援を要請したと明らかにした。

市長は「感染者数は来週、急増が見込まれる。現時点で準備する必要がある」と強調。4月5日までに看護師1000人、呼吸療法士300人、医師150人の追加派遣をトランプ政権に要請し、返事を待っていると説明した。

米国のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)による死者は3900人近くに達した。これは2001年9月11日の米同時多発攻撃による死者(2977人)を上回る。感染者数は18万7000人に増加した。

ホワイトハウスの医療専門家は、国内の死者は10万─24万人に達する恐れがあると指摘している。

米国の死者数は、イタリア(約1万1000人)とスペイン(約8000人)の水準には達していないが、中国(3305人)を上回る。

世界全体では感染者数は80万人以上となり、死者は4万人を超えた。

全米では30州以上が外出規制を導入して感染拡大を食い止めようとしている。トランプ大統領は31日、米国民に対し、新型コロナウイルスとの戦いで非常に厳しい2週間になると語り、4月いっぱいは社会的距離に関する連邦指針に従うよう求めた。

軍当局者はABCテレビ番組のインタビューで、臨時病院を最大341カ所設置するため、ホテルや寮、イベント会場、屋外の広いスペースを探していると述べた。ニューヨーク市では、既に市内のコンベンションセンターに臨時病院を設置して1000の病床を確保している。

カリフォルニア州でもここ数日感染者が急増しており、31日時点で7600人以上が感染し、150人が死亡した。

医療現場では、医療器具や防護服などが不足しており、医師や看護師など医療従事者への負担が拡大している。

議会では、先週可決された2兆2000億ドル規模の景気対策に続く支援措置が必要かが議論されている。

民主党のペロシ下院議長は、次の措置として、州や地方政府の回復を後押しする措置を検討すべきだと主張。共和党のマコネル上院院内総務は状況をしばらく見極める必要があるとの考えを示した。

米ゴールドマン・サックスは31日、米経済は第2・四半期に34%のマイナス成長に陥るとし、従来予想のマイナス24%から下方修正した。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた新規失業保険申請件数の急増を踏まえると、米経済成長率のマイナス幅は拡大し、失業率も上昇すると指摘している。

[ロサンゼルス/ニューヨーク ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・BCGワクチンの効果を検証する動きが広がる 新型コロナウイルス拡大防止に
・新型コロナウイルスをめぐる各国の最新状況まとめ(4月1日現在)
・韓国発の超大作『キングダム』、台湾・香港版タイトルが韓国で炎上 新型コロナウイルスもあって問題化


cover200407-02.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月7日号(3月31日発売)は「コロナ危機後の世界経済」特集。パンデミックで激変する世界経済/識者7人が予想するパンデミック後の世界/「医療崩壊」欧州の教訓など。新型コロナウイルス関連記事を多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国主席「中米はパートナーであるべき」、米国務長官

ビジネス

円安、物価上昇通じて賃金に波及するリスクに警戒感=

ビジネス

ユーロ圏銀行融資、3月も低調 家計向けは10年ぶり

ビジネス

英アングロ、BHPの買収提案拒否 「事業価値を過小
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 8

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中