最新記事

感染症対策

安倍首相、イタリア・スペインなど入国拒否へ 新型コロナウイルス対応で公共料金の支払い猶予も

2020年3月18日(水)21時00分

安倍晋三首相は午後に開いた新型コロナウイルス対策本部で、イタリア、スペインなど欧州の一部を入国拒否国に追加することを明らかにした。写真は2月25日、東京の首相官邸で撮影(2020年 代表撮影)

安倍晋三首相は18日夕、新型コロナウイルス対策本部で、イタリア、スペインなど欧州の一部を入国拒否国に追加することを明らかにした。また、生活が困窮する世帯を支援するため、社会保険料や公共料金に支払い猶予期間を設ける方針も示した。

安倍首相は会議後、記者団に対し「新型コロナウイルスの感染が拡大しているイタリア、スペイン、スイスの一部地域、アイスランドを入国拒否地域に追加した」と説明した。19日午前0時から実施する。

さらに「シェンゲン協定の全加盟国を含む欧州諸国はもとより、イラン、エジプトの38カ国についてさらなる検疫の強化が必要と判断した」とし、これらの国からの入国者については14日間の待機を要請し、公共交通機関の使用の自粛要請を行うという。

安倍首相は「全国民に対し、地域を問わず、全ての海外の国々への渡航の是非、延期の必要性について検討するよう注意喚起したい」と述べた。

また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で仕事が減るなど生活に不安を抱える国民に対応するため、電気料金など公共料金の支払いに猶予を設けることも検討している。「それぞれの方の状況に配慮し、支払いの猶予など、迅速かつ柔軟に対応するよう、各大臣から要請してほしい」と説明した。

国税や社会保険料についても、猶予の申請や審査をできるだけ簡素化した上で、困難な事情がある人には「原則として1年間は納付を猶予し、延滞税、延滞金についても免除、軽減措置を講じた」という。

個人向け貸付制度の特例も拡大し、収入が減り貸付を必要とする個人事業主などへの貸付限度額を10万円から20万円に引き上げる。「生活費が切迫している場合には迅速に貸付を行うなど、よりきめ細かい支援を実施する」と説明。こうした取り組みにより、生活に不安を抱える国民に対して当面のセーフティーネットを張っていく考えだ。

開発を進めてきたPCR検査については、2種類の検査機器で開発が完了し、今後、活用していくことを決定。6時間近くかかっていた検査を1時間程度に短縮するもので、医療機関での検査が簡潔になるという。

安倍首相は「今は(新型ウイルスの)感染拡大を抑えることが最優先だが、その後は、日本経済を再び確かな成長軌道へと戻していくため一気呵成に、思い切った措置を講じていく」との認識を示した。

(浜田寛子 編集:田中志保)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・新型コロナウイルスの「0号患者」を探せ!
・イタリア、新型コロナウイルス感染3万人突破・死者2503人
・米研究所が警告「新型コロナウイルス、空中で数時間生存」


20200324issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月24日号(3月17日発売)は「観光業の呪い」特集。世界的な新型コロナ禍で浮き彫りになった、過度なインバウンド依存が地元にもたらすリスクとは? ほかに地下鉄サリン25年のルポ(森達也)、新型コロナ各国情勢など。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米10月求人件数、1.2万件増 経済の不透明感から

ワールド

スイス政府、米関税引き下げを誤公表 政府ウェブサイ

ビジネス

EXCLUSIVE-ECB、銀行資本要件の簡素化提

ワールド

米雇用統計とCPI、予定通り1月9日・13日発表へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    ゼレンスキー機の直後に「軍用ドローン4機」...ダブ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中