最新記事

感染症対策

イタリア、新型コロナウイルス死者107人・感染3000人超 3月中で全国の学校閉鎖、セリエA全試合無観客も

2020年3月5日(木)08時55分

イタリア政府は新型コロナウイルス感染拡大阻止に向け、国内の学校・大学を全て閉鎖する。政府筋が4日明らかにした。閉鎖は5日から少なくとも3月中旬まで続けられる見通し。ミランのサッカースタジアムで2月撮影(2020年 ロイター/DANIELE MASCOLO)

[ローマ 4日 ロイター] - イタリア政府当局は4日、新型コロナウイルスの死者が過去24時間で28人増加し、累計107人になったと発表した。感染者数も3089人と前日の2502人から増え、新型ウイルス感染拡大ペースは衰える様子を見せていない。

アゾリーナ教育相は新型ウイルス感染拡大阻止に向けて少なくとも3月15日まで、国内の学校・大学を全て閉鎖すると発表した。これまでは、新型ウイルスの流行が深刻な北部州の学校・大学のみが休校とされてきた。

市民保護局のボレッリ局長は、感染者の致死率は約3.5%になっていると述べた。

コンテ首相は、「国内の病院は効率性が高いものの、患者数が収容能力を上回る可能性がある。集中治療室が問題だ」と指摘。

国内の感染者が1日当たり約500人のペースで増えるなか、政府は感染拡大防止策をまとめた政令を制定。首相によると、多くの人が集まり、人と人との距離が1メートル以上の安全基準を満たさないイベントの中止を命じ、映画館や劇場も閉鎖を要請するほか、国民に対し、握手や抱擁など身体的接触を避けるよう呼び掛ける内容。また、サッカーリーグ・セリエAの試合を含め、主要スポーツイベントは無観客で行うよう命じている。

イタリアの感染者は産業都市ミラノのあるロンバルディア州や周辺のベネト州、エミリアロマーニャ州に依然として集中しているが、全国に広がりつつある。

主要経済団体の産業総連盟は、同国経済は第1・四半期と第2・四半期の両方でマイナス成長になると予想。

観光業界団体は、3─5月期にイタリア人および外国人の観光客数が約3200万人減少すると予想。観光産業にとって約74億ユーロ(82億3000万ドル)の損失が発生するとしている。

グアルティエーリ経済財務相は、新型ウイルス感染拡大の影響を受けている分野向けに税制優遇など36億ユーロの支援策を打ち出すと約束しているが、政府筋は4日、ロイターに対し、支援規模は45億ユーロに引き上げられる可能性があると述べた。

*内容を追加しました。



[ローマ 4日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・新型コロナウイルス致死率3.4% WHO、東京五輪巡りIOCと協議
・イタリア、新型コロナウイルス感染止まらず 死者27人増・感染者2500人超に
・アメリカの新型コロナウイルス感染増加 日本などへの渡航制限強化の可能性も


20200310issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月10日号(3月3日発売)は「緊急特集:新型肺炎 何を恐れるべきか」特集。中国の教訓と感染症の歴史から学ぶこと――。ノーベル文学賞候補作家・閻連科による特別寄稿「この厄災を『記憶する人』であれ」も収録。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独ZEW景気期待指数、5月はプラス転換 予想も上回

ビジネス

ホンダ社長、日産との統合協議再開「当分もうない」

ビジネス

世界経済の不確実性、貿易戦争終結でも続く=アイルラ

ワールド

パキスタン、インドの攻撃で約50人死亡と発表 40
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映った「殺気」
  • 3
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因は農薬と地下水か?【最新研究】
  • 4
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 5
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 6
    「出直し」韓国大統領選で、与党の候補者選びが大分…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    「がっかり」「私なら別れる」...マラソン大会で恋人…
  • 9
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 10
    ハーネスがお尻に...ジップラインで思い出を残そうと…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 7
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 8
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 9
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中