最新記事
感染症

スペイン新型コロナウイルス死者4000人突破 医療品不足が深刻に

2020年3月27日(金)10時02分
ロイター

スペイン政府は26日、新型コロナウイルス感染拡大阻止に向けた外出制限措置を少なくとも4月12日まで延長すると発表した。レガネスで撮影(2020年 ロイター/SUSANA VERA)

スペイン政府は26日、新型コロナウイルス感染拡大阻止に向けた外出制限措置を少なくとも4月12日まで延長すると発表した。

サンチェス首相は議会で「外出制限の延長は容易なことではないが、新型コロナの感染を予防する唯一の効果的な選択肢だ」などと述べ理解を求めた。

新型コロナ感染による死者は一晩で655人増え、4089人に達した。

スペインでの死者数は前日、発生源となった中国を超え、イタリアに次ぎ世界で2番目に最悪の水準となった。

なかでも大きな打撃を受けているのが介護施設に暮らす高齢者たちだ。新型コロナの感染が深刻なマドリードでは、こうした高齢者らの感染や死亡が急拡大しており、政府当局は早急な対応を約束している。

患者人権擁護団体の代表は「高齢者が見捨てられている」と危機感を表明した。

スペイン全体の新規感染者は18%増加して累計5万6188人となり、過去数日に比べると増加ペースは鈍化した。当局者は、大規模な新型コロナ検査実施が始まったことを踏まえ、感染者数は今後増加する見通しと指摘した。一方、保健当局者は議会に対し、感染拡大ペースが「安定局面に差し掛かりつつある兆候」との認識を示した。

医療用品の調達、「戦闘」状態

累計の感染者数が世界4位となる中、スペインでは衛生・医療用品不足が深刻になりつつある。

マリア・ヘスス・モンテロ予算相は地元テレビで「人工呼吸器、マスク、検査キットの確保はまさに『戦闘』状態。世界中で中国からの調達競争が激化している」と語った。

スペインは新型コロナ対応でこれまでに4億3200万ユーロ(4億7140万ドル)分の医療用マスクや手袋、検査キットを中国に発注。外交筋によると、一部製品の価格は10倍に跳ね上がり、中国の業者が前払いを要求するなどの例も報告されている。

また、保健当局筋によると、中国の一部空港では医療用品を購入するための航空機の列ができているという。

*内容を追加しました

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・欧州当局「新型コロナウイルス、夏に終息の公算小 高温多湿でも活発」
・新型コロナウイルス感染症で「嗅覚がなくなる」という症例が多数確認される
・新型コロナ、急がれる医薬品開発──抗ウイルス薬やワクチンがなかなかできないのはなぜ?


20200331issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月31日号(3月24日発売)は「0歳からの教育 みんなで子育て」特集。赤ちゃんの心と体を育てる祖父母の育児参加/日韓中「孫育て」比較/おすすめの絵本とおもちゃ......。「『コロナ経済危機』に備えよ」など新型コロナウイルス関連記事も多数掲載。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英消費者信頼感、10月は昨年8月以来の高水準に並ぶ

ビジネス

全国コアCPI、9月は+2.9%に加速 電気・ガス

ビジネス

ドイツ、29年にかけ計1400億ユーロ超の財政赤字

ワールド

トランプ氏、SFへの州兵派遣を中止 エヌビディアC
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 2
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシアに続くのは意外な「あの国」!?
  • 3
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺している動物は?
  • 4
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 5
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 6
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 7
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 8
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 9
    「石炭の時代は終わった」南アジア4カ国で進む、知ら…
  • 10
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 7
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 10
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中