最新記事

女性問題

韓国史上初、地上波ニュースのメインアンカーに女性 男性優位社会からの脱却進むか

2020年2月28日(金)21時10分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

男女差別はなくなった?

それでは、KBS局内の意識はどのように変わったのだろうか? KBS国際ラジオ日本語放送によると、男女平等にすべてが様変わりするには、4か月ではまだ時間が足りなかいようだ。例を挙げると、それまで番組の進行表には、「○○アンカー、△△アンカー」と名前が書かれていたが、メインアンカーがイ・ソジョンさんに変わってから「女性アンカー、男性アンカー」と書かれるようになったという。男女平等を理想に掲げても、やはり男女を区別するという意識はまだまだ残っている。

韓国では結婚式の際、知人の中から一人に式の司会者を頼むことが多い。15年ほど前、筆者の同僚が結婚することになり、友人の若い女性にその司会を頼んだ。彼女は一般人向けの映画撮影の講師をしており、司会進行が得意だからだという。実際、彼女の司会は立派で素晴らしい結婚式となった。しかし、後日結婚した当人たちから「親戚の一部の年配者から"若い女性が司会するとは何事だ"と反対意見が出て、式の前日までいざこざがあった」と聞いて衝撃を受けたのを覚えている。

韓国初の地上波女性アンカー誕生は、韓国国民が1日の報道番組の中で最も注目する夜9時のメインニュース枠での起用だった。この事実だけでも、ニュース業界の古い習慣をうち破ろうとする強い意思を感じる。今後は誰も「若い女性は司会として仕切ることができない」などという馬鹿げた反論をする者はいなくなるだろう。

日本ではすでに女性アンカーが活躍しているが、同時に今も女子アナというお飾り的なアナウンサーがちやほやされるのも事実だ。韓国よりも一歩先を行っているからこそ、韓国と共に切磋琢磨し、女性がルックスだけでなくアンカーとしての実力で起用され評価される場が増えることを願っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、湾岸3カ国通してトランプ氏に停戦仲介要請=

ワールド

ロ・トルコ首脳、イスラエルのイラン攻撃を非難 即時

ワールド

米ロ外交協議中止、米国決定とロシア報道官 関係改善

ワールド

イラン、敵対行為終結に向け米・イスラエルと協議模索
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 3
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 4
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 7
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    コメ高騰の犯人はJAや買い占めではなく...日本に根…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中