最新記事

日本企業

ソフトバンク、フランチャイズの携帯ショップ「強制閉店」の非情 一方的通知は「優越的地位の濫用」との指摘も

2020年2月21日(金)18時50分
山田 雄一郎 奥田 貫(東洋経済 記者)*東洋経済オンラインからの転載

ソフトバンクで運用されている携帯販売店の閉店ルールとは…… Issei Kato - REUTERS

<フランチャイズ本部による販売店オーナーへの締め付けといえばコンビニ業界が話題になったが、今度は携帯ショップでの問題が明るみに──>

ソフトバンク担当部長:店舗評価Dを6カ月で3回取った低評価店舗は、勧告してから期限までに商流変更できなければショップコード(店舗ごとの識別コード)が停止になって、運営自体が終了になってしまいます。今から半年後以降の運営はできません。

携帯電話販売店オーナー:要は店を強制で閉めろ、店を他のオーナーに売れということでしょうか?

ソフトバンク担当部長:そうですね。原則オーナーチェンジの形になります。

携帯電話販売店オーナー:(その店舗で)利益が出ているのに売れと言うのですか?

ソフトバンク担当部長:まあ、そうですね。ソフトバンクショップ事業から勇気ある撤退をしていただいて、違う事業に専念いただいたほうが御社にとって先が見えるのではないでしょうか。

D評価が3回で「低評価」認定

店舗評価Dが3回以上だと「低評価店舗」とみなされる

以上のやり取りは東洋経済が入手した、ソフトバンクの担当部長と携帯電話販売店オーナーの会話記録の一部である。この中に出てくる「商流変更」とは別のオーナーの店にスマートフォンなどを卸す変更のことで、「オーナーチェンジ」は店舗運営のオーナーが変わることを意味する。

ソフトバンクの携帯販売店はさまざまな項目で採点され、S、A、B、C、Dの5段階でランク分けされている。その評価に、客からの評判はあまり関係ない。他社からの乗り換えをどれだけ取れたかなどに加え、ソフトバンクが売りたい大容量のデータ通信プランや有料オプションにユーザーをどれだけ加入させたかで評価点が決まってくる(詳細は「ソフトバンク携帯販売店が受ける『過酷な評価』)。

ソフトバンクが毎月配布しているショップ施策をまとめた資料「〈2020年2月度〉ソフトバンク・ワイモバイルショップ施策 運営支援金制度および支援条件」中に「低評価店舗施策」という項目がある。そこに記されたルールをまとめたのが上記の表だ。

直近6カ月間に店舗評価Dが3回以上だと「低評価店舗」とみなされる(Cが2回でDが1回とカウント)。そして、翌々月をメドにソフトバンクが「商流変更・閉店を勧告」するというもの。冒頭の会話でソフトバンクの担当部長が口にしているのがこの低評価店舗施策である。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、ウクライナ首都にドローン・ミサイル攻撃 1

ワールド

インド、年末までにEUと貿易協定締結の見通し=モデ

ビジネス

ロッキードとボーイング、「ゴールデンドーム」で大口

ワールド

「トランプ・モバイル」が通信事業に、499ドルのス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 3
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染みだが、彼らは代わりにどの絵文字を使っている?
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 7
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 8
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 9
    「そっと触れただけなのに...」客席乗務員から「辱め…
  • 10
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 4
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中