最新記事

アメリカ政治

トランプ、一般教書演説は大統領選に向け経済実績を強調 民主党候補らをけん制

2020年2月5日(水)15時40分

トランプ米大統領(写真)は、上下両院合同会議で今後1年の施政方針を示す一般教書演説を行った。写真はワシントンでの代表撮影(2020年/ロイター)

トランプ米大統領は4日、上下両院合同会議で今後1年の施政方針を示す一般教書演説を行った。11月の大統領選での再選をにらみ、民主党の有力候補が提唱する国民皆保険構想を批判し、自身の経済政策の実績を強調した。

約80分の演説でトランプ氏は、ウクライナ疑惑を巡る自身の弾劾裁判には直接言及しなかった。ただ、共和党議員らが総立ちで演説に拍手を送る一方、民主党は大部分を着席したまま聞くなど、弾劾裁判がもたらした党派間の分断が如実にみられた。

上院の弾劾裁判では5日にトランプ氏に無罪評決が下される見通し。

トランプ氏は自身の就任から「たったの3年で米国衰退のメンタリティーを打ち砕き、米国の運命が悪化するのを阻止した。ほんの少し前には想像できなかったペースでわれわれは前進しており、二度と後退することはない」と語気を強めた。

また、民主党の候補指名を争うサンダース、ウォーレン両上院議員が提唱する国民皆保険を念頭に「社会主義によって米国の医療保険制度が破壊されるのを絶対に許してはならない」と訴えた。

さらに、移民問題について、メキシコとの国境からの不法移民の入国を阻止すべきだとあらためて主張。不法移民に寛容な「聖域都市」は間違っているとも語った。

外交政策については、「中東における米国の戦争を終わらせるために取り組んでいる」と表明。

年明けにはトランプ氏の命令によるイラン革命防衛隊の司令官殺害で中東の緊張は高まり、武力紛争に発展するとの懸念も一時浮上していた。

演説の前にトランプ氏は野党民主党のペロシ下院議長に演説原稿を手渡した。その際、ペロシ氏が手を差し出したが、トランプ氏はペロシ氏と握手を交わそうとしなかった。

これに対してペロシ氏は、一般教書演説の直後、トランプ氏から手渡された原稿を破った。トランプ氏への抗議の意思を示したとみられるが、ペロシ氏は記者団に対し、他の選択肢も考慮したうえでの対応と説明した。

*余分な文字を削除しました。

[ワシントン ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200211issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年2月11日号(2月4日発売)は「私たちが日本の●●を好きな理由【韓国人編】」特集。歌人・タレント/そば職人/DJ/デザイナー/鉄道マニア......。日本のカルチャーに惚れ込んだ韓国人たちの知られざる物語から、日本と韓国を見つめ直す。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EXCLUSIVE-チャットGPTなどAIモデルで

ビジネス

円安、輸入物価落ち着くとの前提弱める可能性=植田日

ワールド

中国製EVの氾濫阻止へ、欧州委員長が措置必要と表明

ワールド

ジョージア、デモ主催者を非難 「暴力で権力奪取画策
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    デモを強制排除した米名門コロンビア大学の無分別...…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    イギリスの不法入国者「ルワンダ強制移送計画」に非…

  • 10

    中国軍機がオーストラリア軍ヘリを妨害 豪国防相「…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 8

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中