最新記事

中国

香港からサイパンに向かっていた日本人女性が、空港で妊娠検査を強要された......その理由は?

2020年1月24日(金)15時10分
安部かすみ

アメリカで出産をした中国政府機関の職員は、「候補地として日本、オーストラリア、カナダなども考えていたが、より良い環境のためアメリカを選んだ」「空気が綺麗で食が安全で、環境が良く、人付き合いがあっさりしている。また自由でオープンで、教育レベルが高い」と答えた。

中国語で「アメリカでの出産」などの検索ワードでネットで調べれば、サポートするエージェンシーが数え切れないほどヒットするため、アメリカでの出産は容易だったと語った。

また上海でワイン輸入業を営む別のカップルは、エージェンシーに滞在費なども含め総額31万元(約490万円)を支払ったという。アメリカの入国審査では、妻はゆったり目の衣類とスカーフでお腹周りを隠し、滞在目的を「観光」と虚偽申告した。

出産地としてアメリカを選んだ理由は「最高の教育環境を子に与えるため」と答えた。この夫婦は上海市内に不動産を持ち事業を展開しているにもかかわらず、中国の戸籍制度の関係で子どもは上海市内の学校に入学できないシステムだと言う。「上海一のインターナショナルスクールの入学も、外国籍のパスポートが必要なのです」。

米ビザを取得する場合、面接を強化する新規則発令

中国からのアメリカ出産旅行に関連し、アメリカ本土では逮捕者も出ている。昨年6月、中国人の出産ツーリズムエージェンシーと提携する南カリフォルニアの出産施設が移民法に抵触すると初摘発され、3人が逮捕、起訴されている。

ICE(アメリカ移民・関税執行局)によると、中国系の出産ツーリズムエージェンシーは、主に富裕層向けに「出産ツアーサービス」を提供しており、滞在費用も含めて1万5,000ドル~5万ドル(150万円~500万円)を徴収。逮捕された3人のうちの1人は、2年間で国際電子送金で300万ドル(約3億3,000万円)を受け取っており、500人以上の中国人旅行客にサービスを提供したとされている。

こうした状況をふまえ、アメリカ国務省は1月24日より、国外のアメリカ大使館で、外国人の妊婦が一時滞在のための米ビザを取得する場合、面接を強化する新規則を発令した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日中双方と協力可能、バランス取る必要=米国務長官

ビジネス

マスク氏のテスラ巨額報酬復活、デラウェア州最高裁が

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 2
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 5
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 6
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 7
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 8
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    ウクライナ軍ドローン、クリミアのロシア空軍基地に…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中