最新記事

温暖化対策

「指導者の裏切り許さない」 グレタ・トゥーンベリ、COP25開催のマドリードで演説

2019年12月9日(月)07時22分

スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんが6日、COP25が開催されているマドリードで、気候変動対策に抜本的に取り組むよう世界の指導者に呼びかけた(2019年 ロイター/Javier Barbancho)

スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさん(16)が、第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)が開催されているマドリードで、気候変動対策に抜本的に取り組むよう世界の指導者に呼びかけた。

世界の若い環境活動家のスター的存在になったグレタさんは、太平洋を船で横断してマドリードに到着。6日は、自身が始めて世界に広がった「未来のための金曜日」と呼ばれる抗議運動に参加した。

「今の世界の指導者は、われわれを裏切り続けている。われわれはこれ以上それを許してはならない」。グレタさんは短いスピーチで抗議運動参加者にこう訴え、「変化は、好むと好まざるとにかかわらずやってくる」と付け加えた。

マドリード市当局者によると、抗議運動には約1万5000人が参加。若い参加者がグレタさんの周囲に「人間の盾」を作ったが、見物人との小競り合いが激しくなり、抗議運動の終盤にはグレタさんは赤い電気自動車でステージへと運ばれた。

グレタさんへのメディアスクラムの激しさは、グレタさんが母国スウェーデンの議会前でたった1人で抗議活動を始めた昨年夏以降、環境活動の高まりで気候変動問題が大きく注目されるようになったことを裏づけるものだ。

抗議活動にはスペインの俳優ハビエル・バルデム氏も参加し、「われわれは歴史の重要な分岐点に立っており、初めて声をひとつに訴え始めたようだ」と呼びかけた。

大規模になる森林火災やサイクロン、洪水などへの懸念から、抗議活動に参加する人の数は昨年、世界で数百万単位に膨らんだ。

グレタさんは、同日カルチャーセンターで行われたイベントで、自身と仲間の活動家が、世界の指導者が「もはや逃げ隠れもできない」ようにすると宣言した。

「われわれの勢いは大きくなり、参加者も増えつづけ、われわれの声があちこちに届くようにになってきた。だがもちろん、それが政治的行動に直結する訳ではない」」と、グレタさんは語った。

グレタさんは9月にニューヨークで行われた国連総会に出席するため、公害の原因となる航空機の利用を拒んで船で太平洋を渡り、再び船で欧州に戻っていた。

COP25は2日に開幕し、国連のグテレス事務総長は、「燃える惑星を前に手をこまねいていた世代」になってはならないと訴えた。

13日の閉幕までに、2015年に合意された地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」の実施に向け、交渉担当者らは残された争点の解決を目指している。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191217issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

12月17日号(12月10日発売)は「進撃のYahoo!」特集。ニュース産業の破壊者か救世主か――。メディアから記事を集めて配信し、無料のニュース帝国をつくり上げた「巨人」Yahoo!の功罪を問う。[PLUS]米メディア業界で今起きていること。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、今後5年間で財政政策を強化=新華社

ワールド

インド・カシミール地方の警察署で爆発、9人死亡・2

ワールド

トランプ大統領、来週にもBBCを提訴 恣意的編集巡

ビジネス

訂正-カンザスシティー連銀総裁、12月FOMCでも
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 5
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 6
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 7
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 8
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 9
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 10
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中