最新記事

軍事

北朝鮮のロケット砲発射は戦略的 発射間隔、飛距離とも韓米への脅威に

2019年11月29日(金)16時11分

北朝鮮の超大型多連装ロケット砲の発射を巡り、専門家の間ではシステムと部隊のパフォーマンス向上を指摘する声が上がっている。写真は朝鮮中央通信(KCNA)が28日に提供(2019年 ロイター)

北朝鮮の超大型多連装ロケット砲の発射を巡り、専門家の間ではシステムと部隊のパフォーマンス向上を指摘する声が上がっている。

韓国の統合参謀本部は28日、北朝鮮が超大型多連装ロケット砲2発を発射したと発表。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が設定した非核化交渉期限を米国に確認させる意図があったと考えられている。

「KN─25」のコード名で知られる超大型多連装ロケット砲は8月に初めて発射され、その後の一連の実験で北朝鮮が着実に発射速度を向上させていることが明らかになった。

専門家の分析によると、迅速な発射能力は、北朝鮮のロケット部隊が有事の際、韓国軍や米軍の攻撃対象になる前に迅速に展開・発射・移動できる可能性を高める。

ジェームズ・マーティン不拡散研究センターのミサイル研究者、ジェフリー・ルイス氏は「(発射が)速ければ速いほど、反撃が到着する前に逃げることが可能となる」とツイッターで指摘した。

8月と9月のKN─25の実験では、発射の間隔はそれぞれ17分と19分だった。10月末にはこれが3分となり、28日はわずか30秒に縮小した。

朝鮮中央通信(KCNA)は、「戦闘への適用の最終検討を目的とした今回の連射は、システムの技術的優位性と確固たる信頼性を証明した」と報じている。

新型短距離ミサイルは、韓国と在韓米軍にとって直接的な脅威となる。韓国統合参謀本部によると、今回のミサイルの飛行距離は380キロメートル、高度は97キロメートルで、韓国のほぼ全域が射程内に入る。

元海軍将校で慶南大学のキム・ドンヨプ氏は「北朝鮮は通常戦力を低コスト、高効率で選択的に近代化し、核交渉が行われている間に経済に集中して軍を安心させようとしている。ロケット発射装置は努力の賜物だ。最近の実験は、システムの量産と導入の準備が整ったことを示している」と指摘した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191203issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

12月3日号(11月26日発売)は「香港のこれから」特集。デモ隊、香港政府、中国はどう動くか――。抵抗が沈静化しても「終わらない」理由とは? また、日本メディアではあまり報じられないデモ参加者の「本音」を香港人写真家・ジャーナリストが描きます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米雇用、11月予想上回る+6.4万人・失業率4.6

ビジネス

ホンダがAstemoを子会社化、1523億円で日立

ビジネス

独ZEW景気期待指数、12月は45.8に上昇 予想

ワールド

トランプ氏がBBC提訴、議会襲撃前の演説編集巡り巨
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 7
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 10
    「日本中が人手不足」のウソ...産業界が人口減少を乗…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中