最新記事

ロシア

プーチン肝いり、カムチャッカに巨大リゾート誕生? 「頼みの綱」は中国資金

2019年11月1日(金)17時50分
松丸さとみ

カムチャッカに巨大リゾート誕生?

極東連邦管区の中でも、前述した世界遺産に登録されている火山地帯、カムチャッカ半島はすでに観光地として人気だ。フランス24によると、半島の絶景やクリル湖でのヒグマ観察などを楽しむ1日600ユーロ(約7万2000円)のヘリコプターでのツアーが人気で、中国や韓国、チェコ、そして遠くからはブラジルなどから観光客が押し寄せている。

こうした背景もあり、カムチャッカ半島は今後、一大観光地として開発が進みそうだ。今回の東方経済フォーラムでの成果の一つに、カムチャッカでの観光開発計画も含まれている。官民パートナーシップでカムチャッカの先進経済特区(ASEZ)に392億ルーブル(約660億円)を投じ、リゾート施設を設立する計画だ。客室1000室のホテル、17キロのスキーコース、2本のロープウェイなどが作られる予定となっている。

これとは別に、フランス24によると香港の開発事業者も、カムチャッカにホテルや小売店、レジャー施設などからなる巨大な観光複合施設の建設に合意している。800ヘクタール(8平方キロ)の広さになる予定で、投資額は10億ユーロ(約1206億円)以上と、ロシア極東地域で最大の投資規模になる見込みだという。

ただしフランス24は、東方経済フォーラムで締結された一連の契約には拘束力はなく、実現が約束されたわけではないと指摘している。すでに極東地域で数年前から始まっている開発の中には、地元の役所での手続きがなかなか進まず、資金繰りの問題などもあり、頓挫したままのプロジェクトもあるという。

フランス24は、ロシア極東地域への投資は今のところ、韓国や日本を抑え中国からが最も多く、地元の人たちは自分たちの「夢」であるこの地域の開発において、中国を「頼みの綱」にしていると報じている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:欧州で増加する学校の銃乱射事件、「米国特

ビジネス

豪サントス、アブダビ国営石油主導連合が買収提案 1

ワールド

韓国、第2次補正予算案を19日に閣議上程へ 景気支

ワールド

米の日鉄投資計画承認、日米の経済関係強化につながる
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 7
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中