最新記事

朝鮮半島

米軍は駐留米軍「総力」で韓国を防衛する(米軍幹部)

U.S. Vows To Defend South Korea With Full Military Force Following Pyongyang Threats

2019年11月15日(金)14時32分
デービッド・ブレナン

2017年の演習には米韓両軍から軍用機200機以上が参加 Josh Rosales/U.S. Air Force/REUTERS

<昨年中止された米韓合同演習は今年規模を縮小して実施、これに北朝鮮側は報復も匂わせて脅しに出ているが>

来月実施される米韓合同演習に北朝鮮が軍事報復もちらつかせて反発。これに対して米軍統合参謀本部のマーク・ミリー議長は、韓国防衛のために躊躇なく駐留米軍の総力を投入する準備があることを表明した。

金正恩(キム・ジョンウン)が委員長を務める北朝鮮の国務委員会は13日、「北朝鮮の警告」にもかかわらず、米韓合同軍事演習の実施が決まったことに対して「裏切られた感がある」とする談話を発表した。合同演習の実施は、昨年のシンガポールで行われた米朝首脳会談で金正恩とドナルド・トランプ米大統領が署名した合意文書の「事実上の破棄」だと非難している。

アメリカと北朝鮮の関係は、北朝鮮の非核化、制裁緩和をめぐる協議が進展しないことからこのところ冷え切っている。北朝鮮はアメリカに対して協議の期限を今年の年末に設定し、米側に新たな提案を求めている。

来月実施される今年の米韓合同軍事演習「ビジラント・エース」は、例年より規模を縮小する予定になっている。

「軍事力行使もあり得る」

しかし13日の談話で北朝鮮の国務委員会は、北朝鮮が侵略とみなす行為に直面した場合には「自衛の権利」を有し、北朝鮮は対話を望んでいるものの「事実上の軍事力を行使することも厭わない」と表明した。さらに「アメリカは遠くないうちに大きな脅威に直面し、自身の失策を認めざると得なくなるだろう」と報復を匂わせて警告した。

一方、米軍の制服組トップ、米軍統合参謀本部議長のミリーは14日、この北朝鮮の脅しを軽くあしらった。ミリーは、ソウルで韓国軍の朴漢基(パク・ハンキ)合同参謀本部議長と定例の軍事委員会を開催し、この中で、韓国へのいかなる軍事侵略に対しても「米軍の軍事力を最大限」活用する準備ができていると述べた。

ミリーはさらに、米軍が「広範な抑止力を提供する義務を引き続き果たす」ことを強調した。

これとは別にエスパー米国防長官は、15日開催の米韓定例安保協議(SCM)に出席するためにソウルに滞在している。

エスパーはソウルで13日、北朝鮮との協議再開のために、在韓米軍の活動を「見直す」ことも考えられると発言した。韓国には現在、2万5000人の米軍部隊が駐留している。どう見直すかについてエスパーは「韓国側との緊密な連携のもと、北朝鮮に対する譲歩としてではなく、外交ルートのドアを開けておく手段として(検討する)」と述べた。

<参考記事>日朝戦争なら韓国は北朝鮮の味方、日本はいつの間にか四面楚歌?
<参考記事>北朝鮮と戦う米軍兵士は地獄を見る

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏、自動車関税軽減の大統領令に署名

ワールド

ロシアの無条件停戦が和平の第一歩=ウクライナ大統領

ビジネス

スタバ、四半期世界売上高が予想以上に減少 米経済巡

ビジネス

原油先物2%下落、2週間ぶり安値 OPECプラス増
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 9
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中