最新記事

高齢化社会

「おむつは赤ちゃんのもの」という認識はもうすぐ過去のものになる

2019年10月31日(木)11時58分

もう秘密にしない

キンバリークラークの「ポイズ」ブランドは、メイン州のエミリー・フォスターさん(31)のような、まだ若い女性を対象としている。フォスターさんは1年半前に最初の子どもを産んで以来、尿漏れに悩まされていたが、効果のありそうな商品を購入するのは恥ずかしかった。

「最初は買ってみたが、自分で使うために成人用おむつを選ぶのは非常に妙な気分だった」とフォスターさんは言う。「自分が高齢女性の仲間入りしたような気がする」

グローバル市場で首位に立つスウェーデンのエシティも、「ティーナ」ブランドや、「シルエット・ノワール」と名付けた、黒い薄手の使い捨て下着の新シリーズによって、若い層にアピールしようとしている。

広告のキャッチフレーズは「もう秘密にしない。女性の3人に1人は失禁に悩んでいる」

エシティが後援する「失禁症状に関するグローバルフォーラム」によれば、女性の12%、男性の5%は、何らかの形での尿失禁を経験している。軽微で一時的なものから深刻で慢性的なものまで、状況はさまざまだ。

エシティは、加齢との連想を避けるように、商品のパッケージや販売方法を工夫していきたいと述べている。

「女性向けにはなるべく女性らしく、しかも目立たないように、男性向けにはなるべく男らしく、しかも目立たないように、そういう商品のデザインやパッケージが効果的だ」と語るのは、エシティの健康・医療ソリューション事業部のウルリカ・コルスラッド社長。

潜在的な顧客にメッセージを届けることがなかなか容易でない場合もある。2017年にエシティをスピンオフしたSCAは、数年前、55歳以上のスウェーデン人男性を対象として自社商品のサンプルを送付したが、膨大な苦情を浴びるだけに終わった。

だが、そうした努力は実を結びつつある。調査会社カンターによれば、ターゲットにしたフランス及び英国の成人女性のうち、成人向けの失禁対策商品の使用率は、5年前には約13%だったが、現在では20%に迫っている。

もちろん、さらに売上高を成長させる余地は非常に大きい。コルスラッド社長は言う。「失禁に悩む人を集めた国があるとすれば、人口にして世界第3位の大国になる計算だ」

(翻訳:エァクレーレン)

Richa Naidu Ritsuko Ando

[シカゴ/東京 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191105issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

10月29日発売号は「山本太郎現象」特集。ポピュリズムの具現者か民主主義の救世主か。森達也(作家、映画監督)が執筆、独占インタビューも加え、日本政界を席巻する異端児の真相に迫ります。新連載も続々スタート!


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米テキサス州洪水の死者32人に、子ども14人犠牲 

ビジネス

アングル:プラダ「炎上」が商機に、インドの伝統的サ

ワールド

イスラエル、カタールに代表団派遣へ ハマスの停戦条

ワールド

EU産ブランデー関税、34社が回避へ 友好的協議で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 8
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 9
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 10
    「登頂しない登山」の3つの魅力──この夏、静かな山道…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中