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2020米大統領選

米民主党最有力のウォーレンは危険なイデオローグ?

Is Elizabeth Warren an Ideologue?

2019年10月25日(金)18時00分
ウィリアム・サレタン

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12人参加してもパンチに欠けた民主党の第4回大統領候補討論会(10月15日、オハイオ州) SHANNON STAPLETON-REUTERS

討論会後に出演したCNNの番組で、公的医療保険加入を強制するのは正しいのかと問われたウォーレンは、反対意見が存在する理由が分からないとでも言いたげな反応を見せた。「加入しない自由は重要ではないのか」と追及されても、「誰も(医療保険制度から)はじき出されないことが重要だ」と話をそらすだけだった。

国民皆保険制度のコストをめぐる疑問にも正面から向き合おうとしていない。

大統領選の民主党候補指名を争う1人、バーニー・サンダース上院議員は今年4月、メディケア・フォー・オール法案を上院に提出。ウォーレンも共同提案者として名を連ねる同法案は、保険料や診察料、自己負担枠の撤廃によって支払額の削減を実現するとサンダースは主張したが、中間層の大幅増税が必要になることを認めた。

一方でウォーレンは、この点を認めようとしなかった。討論会後、自身の医療保険制度案のコスト予想額は「大幅に変わる可能性がある」と発言。「複数の収入源」によって予算を捻出できると話したものの、その収入源がどこにあるのか、具体的に語ることはなかった。

世論調査は、ウォーレンが民主党の大統領候補指名を勝ち取り、トランプと本選を戦うことになれば、メディケア・フォー・オール、すなわち政府に医療保険を独占させる案が大きな足かせになることを示している。

だがそれは、ウォーレンが強硬に唱える、個人の自由の領域に踏み込む(と多くの有権者は感じている)無差別的な政策の1つにすぎない。

例えばウォーレンは、アメリカの大手企業は、取締役の4割を、従業員が選んだ人物にするべきだと主張した。また、巨大企業の分割にも意欲を示した。「独禁法に基づき、巨大なテクノロジー企業や製薬会社、石油企業を分割するべきだ」とウォーレンは語った。「全部だ」

異論を唱えた候補者には、カネになびいたとでも言いたげな非難を繰り広げた。「なぜこの討論会の参加者は皆、あらゆる世代の国民に投資することよりも、大富豪を守るほうが重要だと言うのか」。そして他の候補者は、大手テクノロジー企業や製薬会社から政治献金を受けていると非難した。

批判への反論は苦手?

このいわば「焦土作戦」は、ウォーレンが民主党の大統領候補の座を勝ち取る助けになるかもしれない。だがそれは、彼女自身も焼き尽くす危険をはらんでいる。中道派の候補者が手を組み、「反ウォーレン連合」を組織する可能性があるからだ。

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