最新記事

2020米大統領選

トランプのゼレンスキー大統領との電話記録、ウクライナに痛手 勝者はロシアか

2019年9月30日(月)09時34分

トランプ米大統領は、来年の大統領選での政敵追及のため、ウクライナのゼレンスキー大統領に協力するよう圧力をかけたとされる問題で、ゼレンスキー氏と7月に行った電話会談の記録を公開した。写真は国連総会の機会に会談したゼレンスキー氏(左)とトランプ氏。9月25日、ニューヨークで撮影(2019年 ロイター/Jonathan Ernst)

トランプ米大統領は25日、来年の大統領選での政敵追及のため、ウクライナのゼレンスキー大統領に協力するよう圧力をかけたとされる問題で、ゼレンスキー氏と7月に行った電話会談の記録を公開した。

これにより米国内の政治的緊張の激化は必至だ。しかし、それ以上に、ゼレンスキー氏が受けた外交的な痛手は深刻で、破滅的な悪影響をもたらしている。明らかになったゼレンスキー氏の発言は、米野党・民主党を怒らせ、ウクライナが必要としている米国からの超党派の支援を危うくするだけでなく、電話会談で批判されたフランスやドイツのいら立ちも避けられないからだ。

頼みの欧米支援を危うくする恐れ

ウクライナは、ロシアが2014年にクリミア半島を編入し、ウクライナ東部の武装勢力を支援して以来、この隣国と抜き差しならない対立関係にある。そのため、国際社会でできる限り友好国を確保する必要に迫られている。

特に米国からの支援や外交的な手助けに大きく依存。フランスやドイツなどの欧州諸国は、停滞したままのウクライナ東部の和平協議を進展させようと努力を続けてくれている。

ところが今回の電話会談記録が判明した結果、ウクライナが有害な国家だとみなされかねない、と同国のシンクタンク、ニュー・ヨーロッパ・センターのアルヨナ・ゲトマンチュク氏は指摘する。

16年の米大統領選への介入疑惑で広がったロシアへの嫌悪感ほどではないにしろ、ウクライナの印象もかなりひどくなりそうだ、と同氏は付け加えた。

ゼレンスキー氏にとって何とも間の悪いことに、今回の問題はウクライナ東部紛争終結のための和平協議の一部再開に自らが積極的になっていた、まさにその時に発覚した。こうした取り組みには、米国や欧州の外交的な協力が欠かせない。

しかし会談記録によると、ゼレンスキー氏は、バイデン前米副大統領の息子が役員を務めていたウクライナ企業への捜査再開をトランプ氏に約束したほか、フランスのマクロン大統領とドイツのメルケル首相が対ロシア制裁実施を後押ししてくれないと不満を口にしていた。

またゼレンスキー氏は、米民主党政権時代の駐ウクライナ大使が「良くない外交官だった」とのトランプ氏の主張に同意していた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ブラックフライデーの米オンライン売上高は過去最高、

ワールド

北朝鮮の金総書記、空軍の核戦争抑止力を強調 式典で

ビジネス

中国製造業PMI、11月は8カ月連続50割れ 非製

ワールド

米・ウクライナ、30日にフロリダで会談 和平案協議
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業界を様変わりさせたのは生成AIブームの大波
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    「世界で最も平等な国」ノルウェーを支える「富裕税」...なぜ他国には真似できない?
  • 4
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 10
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中