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パックンのお笑い国際情勢入門

日韓、香港、米中......あなたも世界の動きと無縁ではない。トランプの嘘とも

2019年8月16日(金)11時10分
ニューズウィーク日本版編集部

トランプの不適切な演説のせいで、ボーイスカウトが謝罪⁉

なぜ、この6人なのか。パックンは説明する。


紹介するメンバーをどうやって選んだかは気になるはず。世の中に山ほど存在する危険人物の中からなぜこの6人を「抜擢」したのか。

(中略)

それは、この不名誉な殿堂入りを果たすには、指導者の「性格」だけでなく、経済規模や軍事力などの「国力」、その国における本人の「権力」、そして地政学的な「日本への影響」もそろわないといけないからだ。

方程式に直すとこうなる。

性格の危険性 × 国力 × 本人の権力 × 日本への影響 = 危険度

適当な審査基準に思われるかもしれないが、本当は合理的かつ科学的に見せ掛けた適当な審査基準だ。でも少なくとも、これで安倍晋三さんも入っていることを説明できる。実際にそこまで危険じゃなくても、日本への影響は絶対的。あと、入れないとつまらないでしょ。

この方程式による「危険度」で最高点を記録したのは、トランプ(危険度は4860)。パックンいわく、「キング・オブ・危険人物」である。

ロシアの米大統領選介入とトランプの司法妨害――いわゆる「ロシア疑惑」「ロシアゲート」――については日本でも多く報じられてきたが、複雑過ぎてもう何がなんだか分からないし、結局どうなったんだっけ、という人が多いかもしれない。

ロシア疑惑を含むトランプの危険性について、パックンは「キング・オブ・危険人物のいいところを紹介しよう」という記事で、こんなふうに痛烈に解説している。


(ロバート・ムラー特別検察官の)2巻の448ページにわたる超大作の報告書によれば、起訴されたのは37人。有罪判決を食らったり、罪状を認めたりしたトランプの側近は5人。押収された資産は約27億円。

しかも、これらは一部にすぎず、捜査自体はまだ進行中! 報告書の最後に継続する裁判が列挙されているが、その数は黒塗りされた12も含めて14にも上る。全く終わっていない。当然だ。ラスボスがまだ残っているから。

ムラー捜査から視野を広げると、脱税、収賄、詐欺、慈善団体基金の不正使用、国家機密漏洩、選挙法違反、性的暴行、偽証教唆、銀行詐欺、マネーロンダリング(資金洗浄)、外国政府からの報酬授受など違法行為の疑惑だけでも枚挙にいとまがない。

さらに規範破り、常識破り、不道徳な言動を足すと、とんでもない件数に。主賓である大統領の不適切な演説のせいで、イベント主催のボーイスカウトが謝罪したことってある?

ここから、身体障害者や子供、少数派にも「優しい」――などと、皮肉たっぷりにトランプの「いいところ」を紹介していくパックン。この記事1本だけで、トランプについてもアメリカ政治についても十分な基礎知識(と、友人知人に語るときに使える小ネタ)を得られるだろう。

こんな「人物」が始めたのが、日本も大きな影響を被ってきた米中貿易戦争なのだ。パックンはこうも言う――「記録的な大嘘つき」のトランプだから、TPP(環太平洋経済連携協定)やイラン核合意などと「日米安保条約も同じ扱いにならない保証はある?」。

あなたはもう、自分には関係ないから知る必要はない、なんて言えないだろう。

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