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変装香港デモ隊が暴力を煽る――テロ指定をしたい北京

2019年8月16日(金)09時45分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

但し、「非常に暴力的な暴徒」を標的にしたものであって、「決して暴力を煽るようなことはしていない(すなわち、「何かを誘発したわけではない」、「トラブルを起こせという指示はしていない」)」と弁明したのが、かえって怪しい。

一方、8月13日には中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」の記者・付国豪氏がデモ参加者に取り囲まれ殴打を受けたと中国大陸のメディアが報じた。このとき付氏は「私は香港警察を支持する。さあ、私を殴ってもいいよ!」と叫んでいる。その後デモ参加者に結束バンドで手足を縛られた付氏が倒れて横になり、激しく殴打されている動画が映し出されるのだが、不自然なことがいくつかある。 

1.付氏は「さあ、私を殴ってもいいよ!」と叫んでいる。この時の中国語は「可以打我了!」だ。普通なら「打就打ba(口辺に巴)!」(さあ、殴りたければ私を殴れ!)」と言うはずなのに、「可以」(~してもいい)という言葉を使っている。おまけに「了」という文字まで最後に付けたということは、「さあ、殴ってもいい準備ができたよ」「準備OKだよ」というニュアンスを添える。不自然だ。

2.付氏は叫んだ時に、一瞬、笑い顔らしいものを見せている。もちろん「観念した時に勇者が見せる不敵な笑み」として褒めたたえることはできよう。しかし慌てた様子が皆無であるというのは、どうも不自然。

3.付氏は「警官と間違えられた」と報道されているが、なぜその時に「私は新聞記者だ」とひとことも言わず、「私は香港警察を支持する」と叫ぶ必要があったのか。「香港警察を支持する」と言えば、デモ参加者が「殴ってくれるだろう」と計算したのではないのか。

4.「暴徒は付国豪の所持品をすべて奪った」と環球時報は報道しているが、その奪い方が不自然だ。携帯やキーホルダーあるいはカードなどが一つ一つずつ地面に置かれた紙(らしきもの?)の上に「きちんと」奪われて行って、動画がその一つ一つが紙の上に置かれていくのを「きちんと」撮影している。このような「暴徒による強奪」など、あり得るだろうか。

5.彼の上司に当たる環球時報の胡錫進・編集長は、付は「報道以外、なんの任務も負っていなかった」、「彼はスパイではない」と強調し、45秒ほどの動画を公開した。そして最後に「その場にいるのはテロリストだ!」という言葉で結んでいる。この言葉が欲しかったのではないのか。

6.不思議なことに、あれほどの暴行を受けながら、付氏は軽傷で済み、翌日には普通に行動している。「芝居は終わったのか・・・」という印象を与える。

香港に駐留する中国人民解放軍

香港にはいま約8000人ほど(一説には1万人)の中国人民解放軍が駐留している。

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