最新記事

欧州極右

イタリア次期首相の有力候補を襲った「ロシア疑惑」

2019年7月17日(水)17時45分
シェーン・クロウチャー

親ロシアの姿勢を隠そうとしないサルビニ AP/AFLO

<イタリア極右政党にロシアがオイルマネーの違法提供疑惑、それでも党首は人気の維持に自信>

次期首相の有力候補を「ロシア疑惑」が直撃した。渦中の人物は、マッテオ・サルビニ。イタリアの極右政党「同盟」の党首で、現在の連立政権で副首相と内相を兼務している人物だ。

ニュースサイトの「バズフィード」が、サルビニの側近とロシア側関係者の会話の音声を入手した。その中では、ロシアのオイルマネーを違法に「同盟」に提供することが話し合われていた(サルビニは疑惑を否定)。

会談は、18年10月にモスクワで行われた。同じ時期にサルビニはモスクワでプーチン大統領と面会している。サルビニは親ロシアの姿勢を隠さず、ロシアとの関係強化を目指してきた。

筋金入りのナショナリストであるサルビニは、反移民の主張を前面に押し出して支持を伸ばし、首相候補に躍り出ていた。

「(今回の疑惑で)人気が下がるとは思えない」と、英バーミンガム大学のイタリア政治専門家ダニエレ・アルベルタッツィは言う。「イタリア人にはほかにもたくさん関心事があるし、これがフェイクニュースだという主張を信じる人も多い。現時点では確実な証拠もない」

アルベルタッツィによれば、来春までにサルビニ政権が誕生する可能性は十分にある。

<本誌2019年7月23日号掲載>

20190723issue_cover-200.jpg
※7月23日号(7月17日発売)は、「日本人が知るべきMMT」特集。世界が熱狂し、日本をモデルとする現代貨幣理論(MMT)。景気刺激のためどれだけ借金しても「通貨を発行できる国家は破綻しない」は本当か。世界経済の先行きが不安視されるなかで、景気を冷やしかねない消費増税を10月に控えた日本で今、注目の高まるMMTを徹底解説します。


ニューズウィーク日本版 Newsweek Exclusive 昭和100年
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月12日/19日号(8月5日発売)は「Newsweek Exclusive 昭和100年」特集。現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

クシュナー氏のPE、英金融会社オークノース株8%取

ビジネス

インド、減税計画にもかかわらず財政赤字目標達成に自

ビジネス

アングル:今週の世界の金融市場、米国の対ウクライナ

ワールド

イスラエル、ガザ住民移住巡り南スーダンと協議=関係
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に入る国はどこ?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 5
    AIはもう「限界」なのか?――巨額投資の8割が失敗する…
  • 6
    恐怖体験...飛行機内で隣の客から「ハラスメント」を…
  • 7
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 8
    40代は資格より自分のスキルを「リストラ」せよ――年…
  • 9
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 10
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 8
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 9
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 10
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中