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サイバー戦争

新時代サイバー戦争は暴走する

A New Age of Cyberwar

2019年7月3日(水)18時10分
フレッド・カプラン(スレート誌コラムニスト)

広島に人類初の原爆が投下されたとき、アメリカの文民政治家や官僚や学者は、この新しい兵器の影響を徹底的に分析し始めた。原爆は戦争の性質を変えるのか。未来の戦争で敵が原爆を使うのを阻止するためにはどうすればいいか。そもそも、そのような戦争に「勝つ」ことが可能なのか――。

これに対して、サイバー戦争の詳細は、ごく最近まで超極秘扱いだったため、原爆のときのような議論を引き起こしていない。だから、多くの問いには答えが出ていないし、そもそも問い掛けもなされていない。

その一方で、サイバー戦争の技術は急ペースで進歩してきた。そしてトランプの大統領覚書により、政治指導者の管理と監視なしで、その技術を使うことが可能になった。しかもその決定を下すのは、その技術を開発した組織のトップだ。彼らが問い掛けるのは、「この技術を使うべきか」ではなく「この技術は使えるか」になりがちだ。

サイバー戦争は間違いなく新しい時代に突入した。

©2019 The Slate Group

<本誌2019年7月9日号掲載>

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