最新記事

核合意

イラン「低濃縮ウラン貯蔵量が核合意の上限突破」 米国は圧力継続と表明

2019年7月2日(火)09時15分

イランは1日、低濃縮ウラン貯蔵量が2015年の核合意で規定した上限を超えたと明らかにした。写真はIAEA本部で3月4日撮影(2019年 ロイター/Leonhard Foeger)

イランは1日、低濃縮ウラン貯蔵量が2015年の核合意で規定した上限を超えたと明らかにした。米政府は同国への圧力を継続すると即座に表明した。

米国が一方的に核合意から離脱して以降、イランが合意義務に違反するのは今回が初めて。国際原子力機関(IAEA)も、イランの低濃縮ウラン貯蔵量が2015年の核合意で定められた上限を超えたことを確認した。

ホワイトハウスは声明を発表し、イランに最大の圧力をかける米国の政策はイランが方針を変更しない限り継続すると表明。イランのウラン濃縮を禁止すべきと主張し、「イラン政権に対する最大限の圧力はイラン首脳陣が行動方針を変更するまで継続する」と強調した。[nL4N24245N]

ホワイトハウスでのイベントでトランプ米大統領は、イランに対するメッセージはあるかとの質問に、メッセージはないとした上で、イランは何をしているか認識しているはずだと述べ、イランは「火遊びをしている」と批判した。[nL4N2424DJ]

一方、イランは、ウラン貯蔵量が規定の上限を超えたことについて、米国が昨年一方的に核合意から離脱したことに対応する権利を履行しているのであり、合意違反ではないと主張した。

ザリフ外相はツイッターで、核合意には違反していないと強調。合意に盛り込まれた規定順守に関する紛争解決メカニズムに言及し、「E3(英国、ドイツ、フランス)が責任を果たせば元に戻す」と述べた。イランは、核合意に基づき想定される世界貿易へのアクセスを欧州が保障することを要求している。

核合意の存続に尽力してきた欧州は、これ以上違反を犯さないようイランに警告しているが、核合意の破棄やイランへの制裁発動は控えている。

ハント英外相は、イランに核兵器を保有してほしくないため英国は核合意の維持を望んでいるとした上で「イランが合意に違反すればわれわれも立ち去るだろう」と語った。

イランは、核合意の存続を望んでいるが、核開発を制限する見返りとして得られる恩恵が米国の制裁により受けられない限り、核合意の条件を永久に順守することはできないと主張している。

[ドバイ/ウィーン 1日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国大統領、1月4ー7日に訪中 習主席とサプライチ

ビジネス

米シティ、ロシア部門売却を取締役会が承認 損失12

ワールド

マレーシア野党連合、ヤシン元首相がトップ辞任へ

ビジネス

東京株式市場・大引け=続落、5万円台維持 年末株価
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 6
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中