最新記事

米イラン関係

イランを核開発と戦争に駆り立てるアメリカ、タイムリミットは今月末?

Trump Says War With Iran Would Be 'Obliteration Like You've Never Seen'

2019年6月24日(月)17時33分
ジェイソン・レモン

昨年5月、イランの首都テヘランでトランプに抗議する市民 REUTERS/Tasnim News Agency

<「戦争は望まない」とトランプは言うが、戦争の種を撒いたのは自分自身だ>

ドナルド・トランプ米大統領は6月23日、NBCニュースに出演し、アメリカとの戦争になればイランは「抹殺」されると述べた。

司会者からイランの最高指導者アリ・ハメネイ師へのメッセージを求められたトランプは、戦争は望まないが、軍事衝突となればイランに勝ち目はないと言い切った。「戦争を望んでいるわけではないが、もしそうなれば、これまで見たことのないような(国の)抹殺が待っている」

イランの指導者たちと話し合う用意はあるが、対話が行われなければイランは「今後、当面の間はボロボロな経済」を強いられることになると言った。

また政権内には「ハト派もタカ派も」いると述べ、「ジョン・ボルトン(大統領補佐官)は完全にタカ派だ。もし彼に任せたら、世界中といっぺんに対決しようとするだろう」と語った。

イランは核合意を遵守していた

米無人偵察機が撃墜されたことを受けてトランプは、イランへの軍事攻撃を実行に移す直前まで行ったが、約150人の死者が出る恐れがあると聞かされて予定10分前に撤回したと21日語った。

またマイク・ペンス米副大統領はCNNに出演し、トランプ政権は無人機への攻撃がイラン政府上層部の許可を得たものだったとの確信を得ているわけではないと語った。

トランプはNBCの番組内で、イランへの軍事攻撃に踏み切るとすればイランが核兵器を手にした時だと主張したが、多くの専門家は、そうした事態に至る可能性を高めているのはトランプ自身の政策だと指摘している。国際原子力機関(IAEA)の査察報告書は、つい最近までイランは核合意を遵守していたとの内容で一貫している。

核合意にはオバマ政権下のアメリカと、英仏独にEU、ロシア、中国が署名した。この合意の下、イランは制裁緩和や投資と引き換えに核開発を控えることに合意。トランプ政権は昨年5月、核合意から離脱したものの、アメリカの複数の情報機関のトップでさえ、核合意のおかげでイランの核開発は停止したと認めている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

東京ガス、25年3月期は減益予想 純利益は半減に 

ワールド

「全インドネシア人のため闘う」、プラボウォ次期大統

ビジネス

中国市場、顧客需要などに対応できなければ地位維持は

ビジネス

IMF借款、上乗せ金利が中低所得国に重圧 債務危機
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中