最新記事

朝鮮半島

韓国、北朝鮮へトランプ訪韓前の首脳会談要請 米国も北に協議呼び掛け

2019年6月20日(木)12時30分

6月19日、韓国は、北朝鮮に対し、トランプ米大統領の訪韓前に南北首脳会談を開催するよう呼び掛けた。写真はシンガポールで昨年6月撮影(2019年 ロイター/Jonathan Ernst)

韓国は19日、北朝鮮に対し、トランプ米大統領の訪韓前に南北首脳会談を開催するよう呼び掛けた。また、米国は北朝鮮との協議に向けた扉は引き続き「大きく開かれている」との見解を示した。

米国のビーガン北朝鮮担当特別代表はワシントンのアトランティック・カウンシルでのフォーラムで、米国は北朝鮮との新たな協議に前提条件を設けていないと語った。

「交渉の扉は大きく開かれている。そう遠くない将来に実質的な手段でこのプロセスに再び従事することを見込み、期待している」とした。

米国には北朝鮮への安全保障提供など、シンガポールで行われた第1回目の米朝首脳会談で示されたすべてのコミットメントについて協議する用意があると述べた。ただ状況を進展させるには北朝鮮による核プログラム放棄に向けた「有意義で検証可能な」措置が必要になると指摘した。

韓国の李度勳(イ・ドフン)北朝鮮担当特別代表は同じフォーラムで、「北朝鮮に対し、トランプ大統領の来週の訪韓前に、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領との南北首脳会談の招待状に応答するよう呼び掛ける」と述べた。

トランプ大統領は来週、大阪で開催される20カ国・地域(G20)首脳会議に出席した後、韓国を訪問して文大統領と会談する予定。

ベトナムのハノイで2月に行われた第2回目の米朝首脳会談は物別れに終わった。

北朝鮮はそれ以降、米国と韓国の度重なる協議再開の呼び掛けに応じていない。

米国は19日、北朝鮮による制裁回避を支援したとしてロシアの金融機関「ロシア・フィナンシャル・ソサエティー」を制裁対象に指定したと発表するなど、制裁緩和に動く兆しをみせていない。[nL4N23Q47U]

この発表の前に講演したビーガン特別代表は、北朝鮮に核兵器を放棄するよう説得する取り組みにおいてロシアと中国が担った重要な役割を強調。中国の習近平国家主席は今週の訪朝の際にこの問題について建設的なメッセージを送ると強く期待していると語った。

また、米朝はともに核協議を巡り柔軟に対応する必要性を理解しているとした上で、北朝鮮の事務レベルの交渉担当者は非核化を協議する権限を与えられる必要があると指摘した。

ビーガン氏は第2回目の米朝首脳会談以降、北朝鮮と事務レベルの協議は開催されていないものの、「政府間で数々のやり取り」が行われてきたと明らかにした。

しかし、両国はまだ「非核化」の定義で見解が一致していないとし、「どこに向かっているのか分からなければ目的地には決してたどり着かない。われわれはそれが非常に重要な出発点だと考える」と強調した。

[ワシントン 19日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 日本人と参政党
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年10月21日号(10月15日発売)は「日本人と参政党」特集。怒れる日本が生んだ参政党現象の源泉にルポで迫る。[PLUS]神谷宗弊インタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

仏首相、年金改革を27年まで停止 不信任案回避へ左

ビジネス

米ウェルズ・ファーゴ、中期目標引き上げ 7─9月期

ビジネス

FRB、年内あと2回の利下げの見通し=ボウマン副議

ビジネス

JPモルガン、四半期利益が予想上回る 金利収入見通
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 5
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 6
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 7
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 8
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 10
    あなたは何型に当てはまる?「5つの睡眠タイプ」で記…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中