最新記事

香港

香港「逃亡犯条例」改正抗議デモ、警察が催涙スプレーで鎮圧へ

2019年6月12日(水)18時40分

6月12日、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正を巡る抗議活動が続く香港で、警察が催涙スプレーを使用し立法会(議会)の建物付近のデモの鎮圧に乗り出した。(2019年 ロイター/Thomas Peter)

中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正を巡る抗議活動が続く香港で12日、警察が催涙スプレーを使用し立法会(議会)の建物付近のデモの鎮圧に乗り出した。

「逃亡犯条例」改正案を審議する立法会の建物の周辺には、数万人の抗議者が集まり、立法会は2回目の審議の延期を余儀なくされた。

警察は催涙ガスやプラスチック弾の銃も装備。現場は大混乱に陥り救急車が出動した。

警察はデモ参加者に、抗議活動を中止しなければ「武力行使する」と警告した。

香港警察の盧偉聴長官はプラスチック弾を使用していることを認め、デモ隊に暴力をやめるよう訴えた。

香港政府は、審議はさらなる通知があるまで延期されると説明した。

黒い服を着た若者を中心とするデモ参加者は林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官のオフィスが近い幹線道路の周辺で抗議活動を展開。多数の警官がデモ参加者に対し、行進を中止するよう警告した。

ラム行政長官は、改正案の審議を推し進める考えを示している。企業幹部など実業界の一部からは、香港の投資家心理を圧迫し競争力が損なわれるとし、反対する声が挙がっている。

9日に実施された抗議デモには、主催者側の発表によると103万人が参加した。2003年の「国家安全条例」案に反対した50万人規模のデモを大きく上回り、1997年の香港返還以降で最大規模となった。

立法会は親中派が多数を占める。

この日の抗議デモの現場は金融街にも近い。

地元メディアによると、4大会計事務所や英銀行大手HSBC、スタンダード・チャータード(スタンチャート)銀行は、12日にはフレックスタイム制を導入する方針を示した。

スタンチャートと香港の東亜銀行は、金融街にある一部の支店で業務を停止した。

香港政府は職員らに対し、デモ参加者が道路を占拠しているため、車での通勤を避けるよう指示した。

一方、香港取引所(HKEX)の広報担当は、上場から19年を記念する12日のレセプションは予定通り行われると述べた。ラム行政長官が主賓として招かれているという。

*情報を追加しました。

[香港 12日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


大規模デモで「逃亡犯条例」改正の審議は延期されたが......  Al Jazeera English / YouTube

ニューズウィーク日本版 ガザの叫びを聞け
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月2日号(11月26日発売)は「ガザの叫びを聞け」特集。「天井なき監獄」を生きる若者たちがつづった10年の記録[PLUS]強硬中国のトリセツ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

欧州司法裁、同性婚の域内承認命じる ポーランドを批

ワールド

存立危機事態巡る高市首相発言、従来の政府見解維持=

ビジネス

ECBの政策「良好な状態」=オランダ・アイルランド

ビジネス

米個人所得、年末商戦前にインフレが伸びを圧迫=調査
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 6
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中