最新記事

北朝鮮

金正恩が視察の機械工場、弾道ミサイル発射装置も製造か

2019年6月3日(月)10時20分

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が最近視察したとされる複数の工場について、アナリストらは、弾道ミサイル発射装置といった軍事装備品の製造も担っていると指摘する。写真は三池淵郡の工場を視察する同委員長(中央)。KCNA提供(2019年 ロイター)

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が最近視察したとされる複数の工場について、アナリストらは、表向きは民生用の機械などの生産を行っているが、弾道ミサイル発射装置といった軍事装備品の製造も担っていると指摘する。

北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は1日、金委員長が複数の工場や都市で「現地指導」を行ったと報じた。視察がいつ行われたかは触れていない。

これについて、米カリフォルニア州のジェームズ・マーティン不拡散研究センター(CNS)のアナリストらは、経済的な要素だけが報じられたが、これら施設は大陸間弾道ミサイル(ICBM)技術の開発に大きな役割を果たしてきたと分析。

CNSの研究員ジェフリー・ルイス氏はロイターに「これは北朝鮮の国防産業の中核にある」と述べた。「2016年と17年に北朝鮮がICBM発射試験に近づいた際に行われた視察と類似している」とした。

金委員長が視察した施設には、2017年7月28日に金氏の立ち会いの下で行われたICBM級「火星14」の発射の現場となった「2・8機械総合工場」が含まれた。同工場では弾道ミサイル発射装置が製造されたことがある。

KCNAによると、金委員長は生活必需品が生産されるのを視察し、「一段と高度な近代化計画」を指示したという。

このほか、「江界トラクター総合工場」、「江界精密機械総合工場」も訪れた。CNSのアナリストらは、両工場は軍需産業に関連があり、ミサイル開発で役割を果たしてきた可能性があると指摘した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ政権、予算教書を公表 国防以外で1630億

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、堅調な雇用統計受け下げ幅縮

ワールド

トランプ氏誕生日に軍事パレード、6月14日 陸軍2

ワールド

トランプ氏、ハーバード大の免税資格剥奪を再表明 民
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単に作れる...カギを握る「2時間」の使い方
  • 4
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 5
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 6
    宇宙からしか見えない日食、NASAの観測衛星が撮影に…
  • 7
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 8
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 9
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 10
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 10
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中