最新記事

G20大阪サミット

G20大阪サミット閉幕 米中首脳決裂回避も解消みえず、トランプは日米同盟へ不満公言

2019年6月29日(土)20時35分

20カ国・地域(G20)首脳会議は自由で無差別な貿易環境の実現に向けた首脳宣言を採択し、閉幕した。だが、トランプ米大統領は日米同盟の見直しにも言及しており、参院選を控える中で安倍政権は新たな課題を突き付けられたかたちだ。写真は大阪市内で記者会見する安倍首相(2019年 ロイター/Jorge Silva)

20カ国・地域(G20)首脳会議は29日、自由で無差別な貿易環境の実現に向けた首脳宣言を採択し、閉幕した。懸案だった米中首脳会談の決裂も回避され、貿易協議を今後再開する。もっとも制裁関税そのものは残ったままで、解消の道筋は見えない。トランプ米大統領は日米同盟の見直しにも言及しており、参院選を控える中で安倍政権は新たな課題を突き付けられたかたちだ。

首脳宣言でG20は、世界経済の現状について「安定化の兆しがあり、年後半から2020年にかけ緩やかに回復する」との見通しをあらためて示した。

一方、米中貿易摩擦やイラン情勢を念頭とする貿易・地政学的リスクに対処するため、「さらなる行動をとる用意がある」と表明した。貿易分野では「自由で公平、無差別、予測可能で安定した貿易・投資環境を実現するため努力し、市場が開かれた状態であることを維持する」との認識を共有し、世界貿易機関(WTO)改革を巡って「建設的に取り組む」ことも併せて明記した。

安倍晋三首相は、閉幕後の記者会見で「世界は結束できると信じて議長国を務めた。自由貿易の基本原則をG20で明確に確認できた」と述べた。

懸案だった米中貿易協議の決裂は回避された。G20宣言に先立つ米中首脳会談で、両国は貿易協議を再開することで合意し、米国がスマートフォンやパソコンなども含めた3250億ドル相当を新たに課税対象にする制裁関税の発動は先送りする。

トランプ大統領は「われわれは軌道に戻った」と述べ、中国との交渉を継続するとの認識を示した。新華社通信によると、中国の習近平国家主席は会談で、中国企業を公平に扱うことを望むと表明した。

G20閉幕後の会見では、トランプ大統領が日米同盟の見直しに言及し、「破棄することはまったく考えていない。不平等な合意だと言っている」と語った。「条約は見直す必要があると安倍首相に伝えた」ことも明らかにした。

日米同盟のベースとなる日米安保条約に米大統領が疑念を示すのはきわめて異例で、トランプ大統領の発言は、茂木敏充経済再生相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表との間で協議を重ねている貿易交渉に影響する可能性もある。

<IMF専務理事、貿易障壁引き下げを訴え>

国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は29日、サミット閉幕にあたり声明を発表し、関税などの貿易障壁引き下げを訴えた。

専務理事は通商摩擦により投資や貿易が鈍化するなど世界経済が困難な局面にあるとし、「米中の協議再開を歓迎する一方、すでに発動された関税は世界経済を抑制しており、未解決の問題は今後の大きな不透明感につながっている」と指摘した。

今後の世界経済についてIMFは一定の成長の強まりを予測しているが、見通しへのリスクは引き続き深刻とし、各国中銀は今後の指標をみながら政策調整する必要があるとの認識も併せて示した。

(竹本能文 編集:山口貴也)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 教養としてのミュージカル入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月17号(3月10日発売)は「教養としてのミュージカル入門」特集。社会と時代を鮮烈に描き出すポリティカルな作品の魅力[PLUS]山崎育三郎ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ホルムズ海峡付近で3隻に飛翔体、タイ船の火災で3人

ビジネス

IEA、最大規模の石油備蓄放出勧告へ 計4億バレル

ワールド

イラン、米・イスラエル関連の域内経済・銀行拠点をを

ワールド

市場変動が経済への衝撃増幅も、さまざまなシナリオ検
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開された皇太子夫妻の写真が話題に
  • 4
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 5
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 6
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 7
    「一日中見てられる...」元プロゴルファー女性の「目…
  • 8
    人間ダンサーを連れて「圧巻のパフォーマンス」...こ…
  • 9
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 10
    ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 6
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 9
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 10
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中