最新記事

テロ

スリランカ連続自爆テロで24人逮捕 国際組織関与の疑い

2019年4月23日(火)09時59分

スリランカ捜査当局は、同国の教会や高級ホテルで21日発生した連続爆発について、7人の自爆犯が関与したとの見解を示した。写真はネゴンボの教会で撮影(2019年 ロイター/Athit Perawongmetha)

スリランカ政府は22日、教会や高級ホテルで発生した連続爆発事件を受け、23日午前0時に非常事態を発令し、裁判所の命令なしに容疑者を拘束・尋問する権限を警察と軍に与えると発表した。最大都市コロンボでは2日連続で夜間外出禁止令が発令されている。

事件は21日に発生し、290人が死亡、500人以上が負傷した。捜査当局は7人の自爆犯が関与したと表明。政府報道官は、国際的なネットワークが関与しているとの見方を示した。

警察はこれまでに24人を逮捕。全員がスリランカ国籍としているが、これ以上の情報は明らかにしていない。

捜査当局によると、コロンボの高級ホテル「シャングリラ」では自爆犯2人が爆弾を爆発させた。残り5人の自爆犯は3つの教会と他の2軒のホテルで爆弾を爆発させたという。コロンボ郊外の住宅と4軒目のホテルも狙われたが、どのように攻撃が実行されたか現時点ではわかっていない。

警察によると、コロンボの主要なバス発着所で87個の爆発装置が発見された。現時点でも犯行声明は出ていないが、国際的な対テロリズム専門家は、国内組織が実行したとしても、攻撃の複雑さを踏まえると国際武装組織アルカイダ、もしくは過激派組織「イスラム国」(ⅠS)の関与が疑われるとの見方を示した。

政府報道官は「今回の攻撃が国内の集団だけで実行されたとはみていない」とし「国際的なネットワークがなければ、攻撃は実現できなかっただろう」との見方を示した。詳細は明らかにしなかった。

ウィクラマシンハ首相は21日、教会が攻撃される可能性があるとの情報を政府が事前に入手していたことを認めた。ロイターが入手した11日付の国内情報報告書によると、海外の情報機関がスリランカ当局に攻撃の可能性を警告していた。

スリランカのシリセナ大統領は、国際的なつながりを捜査するため、海外に支援を求めると表明。

米ホワイトハウスによると、トランプ大統領は事件を受けウィクラマシンハ首相と電話で会談し、事件の公正な裁きに協力すると表明。トランプ氏は記者団に対し「米国はスリランカと共に取り組んでいる」と述べた。

事件の犠牲者、および負傷者の大部分はスリランカ人だったが、スリランカ当局によると、32人の外国人が犠牲になった。犠牲者の国籍は英国、米国、オーストラリア、トルコ、インド、中国、デンマーク、オランダ、ポルトガルなどとしている。

事件を受け、米国務省は渡航者や滞在者向けの情報として「テロリストグループ」がスリランカで攻撃を企てている可能性があり、観光名所、交通の要所、ショッピングモール、ホテル、宗教施設、空港などが標的になる恐れがあるとして注意を呼び掛けている。

[コロンボ ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 日本時代劇の挑戦
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月9日号(12月2日発売)は「日本時代劇の挑戦」特集。『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』 ……世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』/岡田准一 ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

世界の大富豪の財産相続、過去最高に=UBS

ワールド

米政権、燃費規制緩和でステーションワゴン復活の可能

ビジネス

中国BYD、南アでの事業展開加速 来年販売店最大7

ワールド

インド中銀、0.25%利下げ 流動性の供給拡大
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 3
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 6
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 7
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 8
    「ロシアは欧州との戦いに備えている」――プーチン発…
  • 9
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 10
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 4
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中