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韓国経済の先行きに不透明感が高まっている3つの理由

2019年2月21日(木)11時25分
真壁昭夫(法政大学大学院教授) ※時事通信社発行の電子書籍「e-World Premium」より転載

2016年ごろから、中国のモノのインターネット(IoT)投資増加などを受けて世界的に半導体需給が逼迫(ひっぱく)した。この結果、サムスン電子が手掛けるDRAMやNAND型フラッシュメモリーの生産量が増加しただけでなく、価格も上昇した。それが、サムスン電子の業績拡大と韓国の輸出増加を支えた。

しかし、2018年の年央ごろから半導体の価格上昇は一服し、秋口以降は下落が鮮明化した。韓国企業などの生産能力増強を受けた供給過剰感や需要の落ち込みも重なり、2018年10~12月期、サムスン電子の営業利益は前年同期比で約30%減少した。韓国の輸出は下り坂を転がるような勢いで減少し、2018年の韓国実質GDP成長率は2.7%増と、6年ぶりの低水準に落ち込んだ。

最低賃金引き上げの目標を撤回

需要項目別に2018年の韓国経済の成長率をみると、輸出と個人消費、および政府支出が増えた。一方、設備投資は減少した。

今後、輸出の増加は見込みづらい。半導体市況の悪化に加え、韓国にとって最大の輸出先である中国経済も減速している。それは、韓国経済が「逆回転現象」に直面することを意味する。韓国は外需の落ち込みと、それを受けた財閥企業の業績悪化に直面する可能性が高いということだ。

個人消費の持続性は高くはないだろう。2018年の個人消費増加は、文政権の政策に支えられた。文大統領は所得の再分配機能を発揮するために、2020年までに最低賃金を1万ウォン(1000円程度)にすることを公約に掲げた。それに向けて2018年に最低賃金を引き上げたことが大きかった。2018年の賃上げ率は16.4%に達した。

しかし、急速かつ大幅な賃上げは企業の反発を招き、文政権は公約の2020年の目標を撤回せざるを得なくなった。輸出環境が悪化し、半導体セクターを中心に減益リスクが高まる中、個人消費にも下押し圧力がかかるだろう。皮肉なことに、政府主導による賃上げは韓国の失業率を押し上げている。すでにサムスン電子などは半導体生産能力の増強に向けて巨額の資本を投下し、今後の設備投資も増えづらい。こうした中、韓国の雇用環境は一段と悪化する恐れがある。

韓国がこの状況をどう乗り切ることができるか、妙案は見当たらない。最低賃金引き上げによる所得再分配策が頓挫したことを受け、文政権は財閥企業の成長力を高め、経済の底上げを実現しようとしている。ただ、成長のけん引役である半導体の輸出にブレーキがかかる中、効果は期待しづらい。

文政権の経済政策は行き詰まった。残された策は、公共事業など政府の支出を拡大しつつ、中国経済の回復を祈ることと言っても過言ではない状況だ。米国との自由貿易協定(FTA)では、ウォン安誘導を禁止する為替条項が導入され、韓国が自国に都合の良い為替レートを目指すことも難しい。

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