最新記事

教育

育児の悩みや反抗期は「うちの子」だけの問題じゃない

2019年1月23日(水)16時00分
舞田敏彦(教育社会学者)

子育てには長期的な展望も必要 kohei_hara/iStock.

<児童相談所に寄せられる児童相談には、2~5歳(第1次反抗期)と13~14歳(第2次反抗期)の2つの大きな山がある>

東京都港区の南青山で、児童相談所の建設をめぐって住民から反対意見が出る騒動が起きている。治安の悪化を危惧する声が強いが、児童相談所は罪を犯した少年を収容する施設ではない。児童福祉に関する相談に応じ、当該の児童や家庭に対して調査や指導を行う機関だ。児童虐待防止の上でも、大きな役割を果たしている。

厚労省の統計によると、2017年度間に全国の児童相談所が受け付けた児童相談は46万3000件ほどだ。1日あたり1200件を超える相談を受け付けていることになる。住民からいかに頼られているかが分かる。地域に児童相談所ができることは、子育て環境の向上につながるという見方もできるだろう。

寄せられた児童相談の数は、当該児童の年齢別に集計されている。「大変な年齢は何歳か?」をうかがい知れるデータだ。それをグラフにすると<図1>のようになる。どういう相談が多いかは年齢によって異なるので、大まかな相談種別の内訳も分かるようにした。

maita190123-chart01.jpg

相談件数が多いのは3歳、5歳と、13~14歳となっている。ちょうど発達心理学でいう第1次反抗期と第2次反抗期に該当する。

種別をみると、乳児期では養護相談の比重が高い。多くは児童虐待に関わるものだ。3歳以上では障害の相談も増えてくる。知的障害の相談が大半だが、最近は発達障害に関わる相談も多い。13~14歳の第2ピークでは、非行や問題行動の相談が頭をもたげてくる。統計は正直で、子どもの成長に伴う問題がはっきり表れている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:ブラジルのコーヒー農家、気候変動でロブス

ワールド

アングル:ファッション業界に巣食う中国犯罪組織が抗

ワールド

中国で「南京大虐殺」の追悼式典、習主席は出席せず

ワールド

トランプ氏、次期FRB議長にウォーシュ氏かハセット
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 5
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 6
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 7
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    「体が資本」を企業文化に──100年企業・尾崎建設が挑…
  • 10
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中