最新記事

流星群

吉兆か凶兆か? 平成が終わる新年の日本で「しぶんぎ座流星群」を撮影

2019年1月4日(金)17時37分
内村コースケ

長野県・蓼科山と白樺湖を望む夜空に見えた「しぶんぎ座流星群」=2019年1月4日午前5時25分〜41分(内村コースケ撮影)

<2019年の仕事始めとなった1月4日は、夜空を彩る天体ショーと共に明けた。毎年北半球でのみ観測できる「しぶんぎ座流星群」が、未明、晴天の夜空に恵まれた日本の太平洋側で世界に先駆けて観測された。"平成最後"の3大流星群でもあり、寒空の下、星に願いを込めた人も多かったのではないだろうか>

好条件に恵まれた今年の観測条件

「しぶんぎ座流星群」は、毎年多くの流星が安定して観測できる「3大流星群」の一つ。1月初旬の北半球でしか観測できず、ヨーロッパなどでは冬の晴天率が低いため、日本の、それも太平洋側が世界でも最も観測しやすい地域の一つだとされる。今年はさらに夜空が暗い新月前だったため、絶好の観測機会となった。

一方、「しぶんぎ座流星群」の流星の出現数は年によってかなりムラがあり、際立って流星数が増加する「極大」が数時間しかない。そのため、残る2つの3大流星群である「ペルセウス座流星群」(8月)、「ふたご座流星群」(12月)に比べて観測が難しいとされている。国立天文台によれば、通常は1時間あたり20個から50個程度の出現で、熟練の観測者によって100個程度見られた年も時々あるという。

放射点(流星が放射状に飛び出して来るように見える天球上の一点)が、現在は国際的に廃止されている「四分儀座」の近くにあるため、日本語で「しぶんぎ座流星群」、英語では「Quadrantids meteor shower」と表記される。現在の星座で言えば、その放射点は、うしかい座とりゅう座の間、北斗七星の下あたり。日本の空では概ね北東の方向だ。

今年の極大は4日午前11頃で、同日の夜明け前の2、3時間が最大の見頃と予想された。その時間帯の太平洋側の天気予報は晴れ。「しぶんぎ座流星群」との関連は不明だが、前日の未明には西日本を中心に「火球」と呼ばれる相当に明るい流星の目撃情報もあり、天文ファンの期待は高まっていた。

北八ヶ岳・蓼科山をバックに流星群を狙う

筆者は天体写真は専門外ではあるが、今年は好条件が重なりそうだったこと、平成最後の3大流星群であり、なおかつ今年の残る2つの3大流星群の観測条件はイマイチだということで、寒空の下、カメラを担いで初めて「しぶんぎ座流星群」の観測に出た。

私が住む長野県・蓼科高原は絶好の天体観測スポットだ。標高1,350mの山中にある自宅から車を観光道路・ビーナスライン沿いに15分ほど走らせ、白樺湖の先にある車山高原にある標高1,500m付近の展望駐車場へ向かった。午前1時30分ごろに到着すると、先客は1台のみ。眼前に北八ヶ岳・蓼科山があり、白樺湖を見下ろす位置にカメラを据えた。

ただ天文現象を捉えるだけではつまらないと思ったので、印象的な風景を絡めたいわゆる「星景写真」として、「しぶんぎ座流星群」を撮影したかった。放射点が北東の空だということをふまえ、北東方向にある映える景観として、この位置取りを選択した。流星群は必ずしも放射点の近くにだけ現れるわけではなく、離れた場所の方が長い光跡を描く傾向にあるとも聞いていたが、星景写真ビギナーとしては、放射点方向にカメラを向けた方が無難だろうという判断だ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

香港大規模火災の死者94人に、鎮火は28日夜の見通

ビジネス

小売販売額10月は前年比1.7%増、PCなど家電増

ワールド

香港大規模火災の死者94人に、鎮火は28日夜の見通

ワールド

米軍の麻薬密売阻止、陸路でも近く開始 トランプ氏が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 7
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 10
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中