最新記事

ウクライナ

ウクライナ、戒厳令を発令「ロシアは地上戦を準備している」

Ukraine Says Russia Is Preparing Ground Attack

2018年11月27日(火)18時00分
クリスティナ・マザ

ウクライナ艦船の拿捕に抗議して、首都キエフのロシア大使館前に集まったデモ隊(11月25日) Gleb Garanich-REUTERS

<ロシア当局が白昼堂々ウクライナ艦船3隻に発砲し拿捕したことは宣戦布告のようなものだ>

ウクライナ海軍の艦船3隻がクリミア半島近海でロシアに拿捕されたことを受け、ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領は翌11月26日にテレビ演説を行い、戒厳令を布告する考えがあると述べた(その後、26日から30日間として発令)。ロシアがウクライナに対する地上戦の用意を進めている証拠を同国諜報機関をつかんだと、ポロシェンコは主張した。

ロシアは25日、黒海からケルチ海峡を経由してアゾフ海に向かっていたウクライナ海軍の艦船3隻に対して発砲し、その後拿捕した。両国は、2014年にロシアがウクライナのクリミア半島を併合し、ウクライナ東部の武装分離勢力を支援するようになって以来、緊迫した関係にあったが、この事件で緊張は跳ね上がった。戒厳令を敷かれれば、軍がウクライナを支配することとなる。

専門家の多くは、ロシアが25日にウクライナ艦船を攻撃したことは、状況を大きく変化させたと話す。

悪事を隠す気もなくなったロシア

元駐ウクライナ米大使のジョン・ヘルブストは本誌に対し、「ロシア軍が遂に白昼堂々とウクライナ艦船に攻撃を仕掛けた事実は大きい。紛争は新たな一線を越えた」と語った。ヘルブストによれば、ロシアは2014年にウクライナのクリミア半島を併合したときでも西側の目を気にしてロシア軍の徽章を付けていない覆面兵士を使っていた。ウクライナ東部のドンバス地方では数千人規模のロシア軍将校が分離派勢力の戦闘を指揮しているが、ロシアはあくまで関与を否定している。だが今回の事件は隠しようもない、という。

さらに、ヘルブストは言う。「ウクライナ内務省が公表した動画を見ると、ロシアの国境警備船はウクライナのタグボートに激突している。ロシア側は危険航行していたのはタグボートのほうだと言うが、タグボートはまっすぐに航行していた。その後、ロシア船はウクライナ船に発砲して6人を負傷させ、船を拿捕した。これは、一国が他国に対して公然と行った攻撃以外の何物でもない」

ポロシェンコは、地上侵攻に関する詳細をまだ明らかにしていない。

イギリスのジェレミー・ハント外相は26日に声明を発表し、「イギリスは、ウクライナ船に対してロシアが武力を行使したことを強く非難する。ロシアは再び、国際規範とウクライナの主権を蔑ろにする行動に出た。拘束しているウクライナ人船員を解放し、ウクライナ船がケルチ海峡を自由に航行する権利を保障しなくてはならない」と述べた。

(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国大統領、北朝鮮へのドローン飛来で監視体制の不備

ワールド

ベトナム共産党大会、ラム書記長が演説 経済成長10

ワールド

インドネシアルピアが最安値更新、中銀の独立性巡る懸

ビジネス

NYSE、24時間対応のトークン化証券取引プラット
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「耳の中に何かいる...」海で男性の耳に「まさかの生物」が侵入、恐怖映像と「意外な対処法」がSNSで話題に
  • 2
    「死ぬところだった...」旅行先で現地の子供に「超危険生物」を手渡された男性、「恐怖の動画」にSNS震撼
  • 3
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向」語る中、途方に暮れる個人旅行者たち
  • 4
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 5
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 6
    中国、欧米の一流メディアになりすまして大規模な影…
  • 7
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 10
    中国ネトウヨが「盗賊」と呼んだ大英博物館に感謝し…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 7
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中