最新記事

アメリカ政治

米中間選挙の民意を出口調査から読み解く

The GOP Is Losing the Middle

2018年11月17日(土)15時15分
ウィリアム・サレタン

#MeTooの風吹かず

民主党はセクハラ問題が追い風になるとみていたが、どうやら両刃の剣だったようだ。被害を受けた女性の訴えが信じてもらえないことを「憂慮」または「非常に憂慮」するとした人は78%だったが、訴えられた男性に弁解の機会が与えられないことを「憂慮」または「非常に憂慮」するとした人も74%いた。

そして女性に肩入れする人は民主党に傾き、男性に肩入れする人は共和党に投票する傾向があった。セクハラを「非常に深刻」な問題とみた人は46%で、その多くは民主党に投票した。「ある程度深刻」と回答した人は38%で、そのうち50%が共和党に、48%が民主党に投票した。

もうひとつ、注目すべきデータがある。「政治的に正しい」姿勢を要求する圧力の存在について、投票者の66%は度が過ぎると答えていた。その意味するところは不明だが、民主党はこうした反応を引き起こした原因を解明すべきだろう。

銃規制問題は共和党に不利

一般に、銃の所有者は銃規制の問題を投票の決め手にするが、規制強化を唱える人はあまりこの問題を投票の決め手と考えないとされる。しかし今年は様子が違った。回答者中、規制強化を支持した人は59%、反対した人は37%だった。投票の決め手となった課題の中に銃規制を挙げた人は10%だが、そのうち70%は民主党に投票した。

また妊娠中絶の問題を最優先課題に挙げた人の多くは共和党に票を投じたが、銃規制を最重要とした人は圧倒的に民主党に票を投じていた。

暴力問題の影響はわずか

選挙の前に反ユダヤ主義や反黒人、反移民のヘイトクライムが頻発したが、トランプの対応はお粗末だった。だが共和党は政府に抗議する若者を民主党の「暴徒」と攻撃し、共和党のダメージを減らしたようだ。

「共和党支持者は暴力を引き起こすようなやり方で政治について語る傾向があり、民主党支持者はそうではない」という見解に賛同する人はその逆と答えた人と同程度だったが、「最近の過激派の暴力」を投票の決め手とした人は23%で、その多くは民主党に投票した。だが回答者の半数は、暴力の問題は重要だが決め手ではないと考えており、その中では民主党支持が共和党支持を少し上回る程度だった。

不発に終わったロシア疑惑

16年にトランプの選挙運動にロシア政府が協力したかどうかについて、有権者の回党はほぼ半々に分かれた。48%はイエスと答え、49%はノーと答えた。

だが共和党の宣伝で、多くの人がロバート・ムラー特別検察官の捜査に不信感を抱くようになったらしい。ムラーの捜査手法に異を唱えた人は46%に上った。ムラーは選挙後にさらなる衝撃的な事実を明かすかもしれない。だが、選挙前に公表した情報が投票行動に有意な影響を与えたとは言えない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

マン英中銀委員、インフレは「期待ほど改善せず」 早

ワールド

ロシア、イラン濃縮ウラン撤去なら受け入れの用意 米

ワールド

米南部州がアップル提訴、iCloudの児童性的虐待

ワールド

トランプ氏主導「平和評議会」が初会合、ガザ復興に7
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    中道「大敗北」、最大の原因は「高市ブーム」ではなかった...繰り返される、米民主党と同じ過ち
  • 3
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政余地を狭め、財政リスクを高める」
  • 4
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 5
    ウクライナ戦争が180度変えた「軍事戦略」の在り方..…
  • 6
    カンボジア詐欺工場に「人身売買」されたアフリカ人…
  • 7
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 8
    アイスホッケーの試合中に「銃撃事件」が発生...「混…
  • 9
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 10
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 1
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 2
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 3
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 4
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 5
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 6
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 7
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 10
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中