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全米2万人が毒舌を吐く「結婚式さらしコミュニティー」

The Wedding Shamers

2018年11月14日(水)18時10分
レイチェル・ウィザーズ

怒りを吐き出す場を切実に必要としている人たちもいる。さらしコミュニティーでイライラを発散すれば、見ず知らずの人たちが共感してくれるし、愚痴にぴったりのおふざけ動画を上げて笑わせたりしてくれる。

結婚式の一場面一場面をインスタグラムに投稿して、全世界に幸せをアピールするカップルがごまんといる昨今、式の裏側をぶちまけ、さらす場は格好の「解毒剤」になる。

代表的なさらしコミュニティーにはかなりまともな規則があり、管理者たちが違反に目を光らせている。標的の個人情報をネットにさらす行為は御法度。それと分かるユーザー名や特徴なども出してはいけない。思想信条は持ち込まない。また、例えば指輪さらしの場合は「標的は指輪で、人格攻撃は控える」ことや「どんな指輪も見方によってはダサいことを忘れない」がお約束だ。

さらしという趣旨からして底意地の悪いコミュニティーのようだが、誰かを傷つけるわけではない。悪気のない無害な意地悪だ。最初の投稿をした人は愚痴を吐いてスッキリするし、ほかの人たちも毒舌を吐いてちょっとした楽しみを味わえる。なかには自分をさらし者にする自虐投稿もある。

結婚式の愚痴では今年7月、ツイッターのある投稿が話題になった。花嫁の付添人を頼まれて、式に出るため飛行機の予約なども済ませていた女性がジェットブルー航空のツイッターアカウント宛てに、付添人を「降りて」くれと花嫁に言われたと訴えたのだ。

これはチケットの払い戻し請求に見せ掛けて、実は花嫁の理不尽さを大々的にアピールし、復讐するためのツイート。これに比べたら、結婚式さらしはまだしも健全な活動だ。

もっとも冒頭のケースのように、さらしコミュニティーへの投稿が外部に漏れて拡散する場合もある。ただ、6万ドルの結婚式を計画した花嫁は「人生に一度くらいは注目を浴びたい!」と書き込んでいたから、その望みはかなったわけだ。

<本誌2018年11月13日号掲載>

※11月13日号(11月6日売り)は「戦争リスクで読む国際情勢 世界7大火薬庫」特集。サラエボの銃弾、真珠湾のゼロ戦――世界戦争はいつも突然訪れる。「次の震源地」から読む、日本人が知るべき国際情勢の深層とは。

© 2018, Slate

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