最新記事

日本外交

安倍首相、訪中で日本企業の中国ビジネスを後押し 米中双方と関係両立へ「苦心」にじむ

2018年10月18日(木)17時30分

10月18日、安倍晋三首相は25日からの訪中で、日本企業による中国ビジネス拡大を後押しする姿勢を鮮明にする。習近平国家主席との首脳会談を予定しているほか、日中企業が第3国で事業協力する協定の調印式にも出席する。写真は都内で2日撮影(2018年 ロイター/Issei Kato)

安倍晋三首相は25日からの訪中で、日本企業による中国ビジネス拡大を後押しする姿勢を鮮明にする。習近平国家主席との首脳会談を予定しているほか、日中企業が第3国で事業協力する協定の調印式にも出席する。ただ、日米基軸の外交方針の下で、日本政府としては米国への配慮も欠かせない。中国の掲げる「一帯一路」には深入りせず、米中両国との関係を両立させたいという「苦心」も透けて見える。

フォーラム名称から消えた「一帯一路」

「今回のフォーラムで、一帯一路という名称はあえて使っていない」と政府関係者は打ち明ける。知名度の高い「一帯一路」の表現は使わず、「日中第3国市場協力フォーラム」となった背景には、米国への配慮がにじむ。安倍首相のこれまでのスピーチでも、「一帯一路」という名称への言及は避けてきたという。

日本にとって、中国との経済関係改善を進める一方で、米中間のハイテク覇権をかけた貿易摩擦に対する配慮も欠かせないという認識が、日本政府内にはある。

ある日本政府高官は、日米同盟の枠組みの下で、米国に対する通商関係での「遠慮」は、歴代政権が経験してきたことだと指摘する。

経済団体の関係者は、今回の日中間における経済協力推進に対し、米側からクレームが来てもおかしくないだろうとの認識を示している。 

経済界で浮上する米中摩擦長期化の予測

しかも、米中摩擦の影響で世界各国の景気には、不透明感が強まっている。経団連・中国委員会の企画部会長で、中国との経済交流に長らく携わってきた三菱UFJ銀行・顧問の倉内宗夫氏は「(米国の)中間選挙を過ぎれば、米中摩擦に関してトランプ大統領も旗を降ろすとみていたが、ここへきてそう簡単にはいかないという声が経済界から増えている」と話す。

倉内氏は「半年どころか少なくとも1年以上は続きそうだ。中国との貿易量が減少するなど、日本企業にはマイナスの影響を念頭に置く必要がある」と、貿易摩擦への見方を慎重化せざるを得ないと述べている。

日本企業にとって魅力的な中国との協調

しかし、企業にとって中国関連の投資は引くに引けない事情もあるという。

倉内氏は、市場の巨大性や中国政府の動きの迅速性などを評価すれば、企業の世界戦略として、中国市場は最重要だと指摘。「ビジネス環境として自由で開放性のある米国との関係は非常に重要だが、中国も同様にコンスタントな投資が必要な地域。今は米中どちらにもいい顔をしておくべきというのが、経営者の共通の思いだ」と打ち明ける。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、ロシア船籍タンカーを大西洋で拿捕 ベネズエラ原

ビジネス

米ADP民間雇用、12月は4.1万人増 予想下回る

ワールド

米国務長官、デンマークと来週会談 グリーンランド巡

ビジネス

米製造業新規受注、10月は前月比1.3%減 民間航
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじゃいる」──トランプの介入口実にデンマーク反発
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが…
  • 6
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 7
    公開されたエプスタイン疑惑の写真に「元大統領」が…
  • 8
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び…
  • 9
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 10
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 10
    感じのいい人が「寒いですね」にチョイ足ししている…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中