最新記事

一帯一路

エチオピア「一帯一路」鉄道計画が頓挫 中国が融資を減速

2018年9月6日(木)17時00分

9月1日、「アフリカの角」に位置するエチオピアは債務返済で苦境に立たされており、同国の主な債権者である中国が、一部のインフラ計画の収益性に懸念を強めて融資を鈍化させる兆しが見えている。写真はエチオピアの首都アディスアベバ。昨年1月撮影(2018年 ロイター/Tiksa Negeri)

エチオピアは、シルクロード経済圏構想「一帯一路」の「モデル国家」として、中国共産党の専門家から称賛されている。中国政府は一帯一路に1260億ドル(約14兆円)を投資して、自国とユーラシア、アフリカ大陸をつなぐ鉄道、道路、海路の構築を目指している。

しかし、「アフリカの角」に位置する人口1億人のエチオピアは債務返済で苦境に立たされており、同国の主な債権者である中国が、一部のインフラ計画の収益性に懸念を強めて融資を鈍化させる兆しが見えている。

「出資者は、エチオピアのGDP(国内総生産)の59%に及ぶ債務の返済リスクが非常に高まっていることを懸念している」と、エチオピアの首都アディスアベバのアフリカ連合(AU)本部への中国代表団は7月、ウェブサイトで表明した。

それによると、中国の対エチオピア投資は減速しており、中国輸出信用保険公司はエチオピアへの投資規模を縮小しているとしている。

アフリカ諸国の債務懸念が高まるなか、エチオピアのアビー首相は中国アフリカ協力フォーラム(FOCAC)に出席するため3日から北京を訪れる。

アビー首相は中国の李克強首相と会談するほか、自国の農工業・製薬ビジネスに中国企業から投資を呼び込もうとするとみられると、中国国営新華社は伝えている。

米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)の中国アフリカ研究所(CARI)によると、エチオピアは天然資源に乏しいにもかかわらず、中国からの融資においてアフリカ諸国のなかでトップを占め、中国国有の政策銀行は2000年以降、121億ドル以上融資を拡大している。

1991年に軍事政権が崩壊後、同国を率いる与党エチオピア人民革命民主戦線(EPRDF)の連立政権は、2025年までに中所得国になることを目指し、道路や鉄道、工業団地の建設など製造業主導の産業国になるという野心的な構想を進めている。だがそれにより、債務は増加の一途をたどっている。

エチオピア中央銀行のYinager Dessie総裁は7月、ロイターに対し、同国政府は中国からの債務を減らしたいと考えていると語った。同総裁によると、エチオピアの2国間債務の大半は中国からのものだという。

「向こう数カ月間にわたり、協議がもたれるだろう。債務返済の選択肢を広げる上で、落としどころがどの辺になるかまだ分からない」と同総裁は語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベセント米財務長官、インドに対する追加関税撤廃の可

ワールド

米、嵐で16万戸超が停電・数千便が欠航 異常な低温

ワールド

市場の投機的、異常な動きには打つべき手を打っていく

ワールド

米ミネアポリスで連邦捜査官が市民射殺 移民取り締ま
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    「楽園のようだった」移住生活が一転...購入価格より…
  • 6
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 7
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 8
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 9
    私たちの体は「食べたもの」でできている...誰もが必…
  • 10
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味を帯びる「超高齢化」による「中国社会崩壊」
  • 4
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 5
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 6
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 9
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 10
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 7
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中