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一帯一路

エチオピア「一帯一路」鉄道計画が頓挫 中国が融資を減速

2018年9月6日(木)17時00分

頓挫する鉄道計画

内陸に位置するエチオピアにおける交通整備プロジェクトの収益性に対する中国の懸念は、なかでもアディスアベバとジブチ港を結ぶ標準軌間の鉄道に集中している。

北京にある中国共産党中央党校の趙磊教授は6月、中国が融資するエチオピア首都アディスアベバ周辺の軽量鉄道とエチオピア─ジブチ間の鉄道プロジェクトを挙げ、「プロジェクトの持続可能性は低い」との見方を党機関紙の光明日報で示した。

「追加のインフラ整備やサービス、保守において十分な検討がされていない」と同教授は指摘した。

鉄道プロジェクトの主要部分は2016年に開通したが、ウォルディアからメケレまで北方に路線を拡張するための中国からの融資は度々遅れており、中国輸出入銀行からの完全な融資パッケージはまだ実行されていないと、清華大学のTang Xiaoyang教授は語った。同教授はエチオピアで実地調査を行っている。

同教授によれば、遅れを生じさせている主な懸念は、プロジェクトの経済的な持続性と実行可能性だという。

中国輸出入銀行と中国交通建設(CCCC)はコメント要請に応じなかった。

「中国輸出入銀行は新規プロジェクトに対し、ますますリスクを回避するようになっている」と、前出CARIのYunnan Chen研究員は言う。

エチオピアはFOCACで、プロジェクトの打開を期待していると、同研究員はみている。

「このように突破口を探ることはFOCACの活動の1つであり、同フォーラムへの注目が、エチオピアのようなアフリカの国にとって中国から言質を取る格好の機会となる」と語った。

(翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)

Maggie Fick and Christian Shepherd

[アディスアベバ/北京 1日 ロイター]


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