最新記事

ホワイトハウス

「私じゃない!」 トランプ政権高官たち、NYT紙「抵抗勢力」論説寄稿を一斉に否定

2018年9月7日(金)07時55分

 9月6日、米ニューヨーク・タイムズ紙が掲載したトランプ政権高官による匿名の論説文について、ペンス副大統領とポンペオ国務長官の両氏は、寄稿していないと表明した。ホワイトハウスの外観(2018年 ロイター/Kevin Lamarque)

米ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)が5日掲載したトランプ政権高官による「政権内の抵抗勢力」を巡る匿名の論説文について、ペンス副大統領やポンペイ国務長官らホワイトハウスの高官は6日、一斉に寄稿していないと表明した。

トランプ大統領は論説に対する怒りをあらわにし、政府内では執筆者を巡り憶測が飛び交っている。

ポンペオ長官は記者団に対し「私が書いたものではない。裏切り者が下手な演技で吐いた不平不満をNYTは真に受けて掲載すべきではなかった」と語った。

ペンス副大統領の報道官はツイッターで「副大統領は自身の論説には署名を入れている。NYTや筋の通らない間違った論説を書いた臆病者は恥を知るべき。トランプ政権はこのような素人連中とは異なる」とした。

米国防総省の報道官は「マティス国防長官の論説ではない」とし、同長官による執筆を否定した。

コーツ国家情報長官は声明で「私もしくは私の側近が執筆したとの憶測が広がっているが、明らかに誤りだ。われわれは書いていない」と述べた。

その他、ニールセン国家安全保障長官やヘイリー国連大使も寄稿を否定。ムニューシン財務長官の報道官はツイッターへの投稿で「このような論説を掲載したNYTは無責任と感じる。閣僚が執筆したとの考えはばかげている」と述べた。

NYTが掲載した匿名の寄稿文は、トランプ大統領の統率力を「衝動的かつ敵対的、狭量で効果がない」と批判。政権内にいる多数の高官がトランプ大統領の言動の危うさを認識し、大統領が掲げる一部の政策について実現を阻止しようと政権内で画策してきたとしている。

執筆者がホワイトハウスもしくは政府機関内で働く人物なのか、憶測が飛び交っている。論説内で使われた「lodestar(北極星、指針)」という独特な表現などにも注目が集まる。

政治賭けサイトでは、執筆者の予想上位3位にコーツ国家情報長官、ペンス副大統領、ニールセン国家安全保障長官の3人の名前が挙がっている。

トランプ大統領はこの日、ツイッターへの投稿で「ディープ・ステート(闇の国家)と左派、彼らの媒体であるフェイク(偽)ニュースメディアは狂乱状態に陥っている」とし、「心配するな、われわれは勝利する!」と述べた。

ホワイトハウスのサンダース報道官も事態収拾に追われ、ツイッターへの投稿で「匿名を名乗る臆病者の素性を突き止めようとするメディアの執着は、米国に奉仕し、トランプ大統領のために働く数千人の米国人の名声を無謀にも汚すことになりかねない」と述べた。



[ワシントン 6日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 世界が尊敬する日本のCEO
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月1日号(6月24日発売)は「世界が尊敬する日本のCEO」特集。不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者……その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英シェル、BP買収を巡る報道を否定 「市場の憶測に

ビジネス

米5月新築住宅販売、7カ月ぶり低水準 在庫は07年

ビジネス

米経済、関税による「スタグフレーション的」減速へ=

ワールド

米フォード、大半の従業員に週4日出勤義務付け 9月
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係・仕事で後悔しないために
  • 3
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 4
    人口世界一のインドに迫る少子高齢化の波、学校閉鎖…
  • 5
    「子どもが花嫁にされそうに...」ディズニーランド・…
  • 6
    【クイズ】北大で国内初確認か...世界で最も危険な植…
  • 7
    都議選千代田区選挙区を制した「ユーチューバー」佐…
  • 8
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 9
    細道しか歩かない...10歳ダックスの「こだわり散歩」…
  • 10
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 8
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 9
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 10
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中