最新記事

米ロ首脳会談

もはやトランプは米安全保障上の脅威──米ロ密室会談に同席した通訳に証人喚問求める 

What did Trump Tell Putin in Private?

2018年7月19日(木)15時40分
グレッグ・プライス

同席したのは通訳だけ。2人きりの会談にこだわったのはトランプのほうだ Kevin Lamarque-REUTERS

<プーチンと2人きりになったトランプはどんな譲歩や約束をしたのか、明らかにしなければアメリカの安全保障に関わる>

ドナルド・トランプ米大統領は7月16日に行われたロシアのウラジーミル・プーチン大統領との首脳会談で、約2時間にわたって密室会談を行った。その場に同席したのは双方の通訳のみ。トランプがプーチンに何らかの安請け合いをした可能性は否めず、米議会では民主党の有力議員らを中心に公聴会を開催し、通訳を呼んで会談の内容を確認すべきだとの声が上がっている。

ビル・パスクレル下院議員(ニュージャージー州選出・民主党)は18日、「会談の場にいた唯一のもう1人のアメリカ人」である通訳のマリーナ・グロスを議会に呼んで、密室での協議の中身を聞くべきだとして、下院監視・政府改革委員会のトレイ・ゴウディ委員長(サウスカロライナ州選出・共和党)宛の書簡で公聴会の開催を求めた。

ジョー・ケネディ下院議員(マサチューセッツ州選出・民主党)も、ツイッター上で大統領の通訳は「議会で証言すべきだ」と主張した。

「アメリカが自分たちの大統領を頼りにできないとは、悲しい事態だ。大統領はよりにもよって、今なお我が国を攻撃し、我々の価値観を傷つけようとする敵国ロシアに、アメリカの安全保障と民主主義と信用を売り渡した。テレビで見た会見だけでもそうなのだから、二人きりならどんな話をしたかわかったものではない。大統領の通訳を直ちに議会に呼んで明らかにする必要がある」

通訳のメモも開示せよ

ジーン・シャヒーン上院議員(ニューハンプシャー州選出・民主党)も17日に同様のツイートをした。

「2人の間で何が話し合われたかを明らかにするために、会談に同席したアメリカ側の通訳を議会に喚問するよう求めている。トランプが私たちの代表としてプーチンに何を打ち明け、約束したかを知るには通訳の証言が必要だ」

ボブ・メネンデス上院議員(ニュージャージー州選出・民主党)は18日、MSNBCのインタビューで、通訳の証人喚問を含め、事実解明に「総力を挙げる」つもりだと述べた。「通訳を委員会に呼ぶ。通訳のメモも見たい」

メネンデスが懸念するのは、NATOの軍事同盟やロシアによるウクライナ侵攻問題などで、トランプがプーチンに何らかの譲歩をしたことだ。

「(クリミア併合の罰として欧米が)ロシアに科している制裁について、トランプは何らかの譲歩をしなかったか。ウクライナ東部やシリアについてはどうか。この3つの問題で、アメリカは手を引くというような約束をしたのではないか」と、メネンデスは地元メディアに語った。

「これらはわが国の安全保障の中核に関わる事柄だが、大統領はアメリカの民主主義や安全保障を断固として守るどころか、プーチンのような独裁主義者におもねってばかりだ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

三菱自、台湾鴻海がEV供給へ 覚書を締結

ワールド

ロシアとウクライナ、互いの首都攻撃 キーウで2人死

ワールド

EUはトランプ関税に屈服せず 対抗措置も検討=貿易

ビジネス

富士フ、印タタ・グループ傘下企業と提携 半導体材料
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗と思え...できる管理職は何と言われる?
  • 4
    分かり合えなかったあの兄を、一刻も早く持ち運べる…
  • 5
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 6
    「欧州のリーダー」として再浮上? イギリスが存在感…
  • 7
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 8
    首都は3日で陥落できるはずが...「プーチンの大誤算…
  • 9
    ザポリージャ州の「ロシア軍司令部」にHIMARS攻撃...…
  • 10
    メーガン妃の「現代的子育て」が注目される理由...「…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 3
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1位はアメリカ、2位は意外にも
  • 4
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中