最新記事

米ロ関係

国際政治の初心者と黒帯の対決? 米ロ首脳会談「軍配」の行方は──

2018年7月13日(金)17時30分

1対1の会談でスタートする米ロ首脳会談に向け、トランプ大統領がどのように準備を進めているかを問われたホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)報道官は、「大統領と彼のチームは、米ロ関係におけるあらゆる問題を協議する準備を行うだろう」と答えた。

トランプ氏が大統領に就任してから、米国政府はロシアに経済制裁を科している。だがその一方で、トランプ氏自身は、ロシアに対して多くの側近よりも強硬な態度を示しておらず、同国が主要8カ国(G8)首脳会議(サミット)に復帰するべきだと述べている。2014年3月にクリミアを併合したのを受け、ロシアはG8から除外された。

現在はG7サミットと呼ばれ、英国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、米国が参加している。

バズフィードが外交筋2人の話として伝えたところによると、トランプ大統領はカナダで6月開催されたG7サミットで、住民が皆ロシア語を話すので、クリミアはロシアの一部だと語ったという。

プーチン大統領は、シリア南西部から傘下の民兵組織を撤退させるようイランに圧力をかける後押しをしたと、トランプ大統領に売り込むかもしれないが、米議会の反対によって制裁が緩和される可能性はほとんどないことを理解するだろうと、米国の元当局者は言う。

トランプ大統領のロシアに対する姿勢が、米国の安全保障担当高官のそれよりも寛大だと認識しているプーチン氏は、因習にとらわれない破壊者として見られたいトランプ氏の欲望に訴えかける可能性もある。

ロシアの政府系メディアは、トランプ大統領について、正しい決断を阻止しようとする顧問に取り囲まれていると伝えている。

ロシア政府は、側近抜きに1対1で両首脳が会談をスタートすることを歓迎しているが、これについて、トランプ大統領が容易にプーチン大統領に操られてしまうのではないかと危惧する反トランプ派もいる。

「あなたと私は、この地球上で束縛を受けない強大な人間であり、この関係を邪魔しようとするのは、取るに足りない人間や敵対者たちだ」と、プーチン氏が言いそうな口上について、前出の元当局者は語った。「われわれは唯一無二のディールを結ぶことができる。さあ、やろうじゃないか」

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

Arshad Mohammed and Jeff Mason

[ワシントン 9日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

バフェット氏、トランプ関税批判 日本の5大商社を支

ビジネス

バフェット氏、バークシャーCEOを年末に退任 後任

ビジネス

アングル:バフェット後も文化維持できるか、バークシ

ビジネス

OPECプラス、6月日量41.1万バレル増産で合意
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 2
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見...「ペットとの温かい絆」とは言えない事情が
  • 3
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1位はアメリカ、2位は意外にも
  • 4
    野球ボールより大きい...中国の病院を訪れた女性、「…
  • 5
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 6
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 7
    「2025年7月5日天体衝突説」拡散で意識に変化? JAX…
  • 8
    なぜ運動で寿命が延びるのか?...ホルミシスと「タン…
  • 9
    「すごく変な臭い」「顔がある」道端で発見した「謎…
  • 10
    海に「大量のマイクロプラスチック」が存在すること…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中