最新記事

タイ

タイ洞窟の少年たちの中には、無国籍だが5カ国語を話す子どももいた

2018年7月13日(金)14時30分
ジェニ・フィンク

救出された少年たちのうちの3人と25歳のコーチにとっては、これは新たな人生の始まりでもある。英紙ガーディアンによると、コーチと少年3人はミャンマー国境に近いタイ北部の住民で、国籍を持っていない。

彼らの事情については情報が少ししかわかっていないが、ニューヨーク・タイムズによると、少年たちを発見したイギリスのダイバーとの通訳を果たしたサムオンという少年は、6歳の時にミャンマーの現地情勢が悪化してタイに逃れてきたという。

両親は国境の街にあるバプテスト教会にサムオンを預けた。通っている学校の校長は、サムオンについて「特に優秀な生徒だ。無国籍の子供には、負けたくないと頑張る生徒がしばしばいる」と、話している。

5カ国語を話す優秀な子ども

スポーツが優れているだけだなく、サムオンは英語、タイ語、ミャンマー語、中国語、ワ語(少数民族ワ族の言葉)の5つの言葉を話し、成績優秀のため学費とランチ代が免除されている。

タイ北部の無国籍難民を支援する活動家のマッチャ・フォルインは、ロイターの取材に対して「無国籍の人たちはどの国の国民とも認められず、たいていは貧しく、旅行や労働を制限され、社会福祉の恩恵を受けられない」と話している。

しかし「ワイルド・ボーアズ」にも嬉しいニュースが届きそうだ。タイ内務省の担当者はガーディアンに対して、彼らに国籍が与えられる可能性があると語った。「現在、地元支所が出生届を調べている。タイで生まれたか、または両親のどちらかがタイ人かどうか、調べている」

少年たちの遭難と救助は、時には不安を感じさせながらも希望に満ちたニュースだった、そして最後はハッピーエンディングで終わった。少年たちのこれからの人生の道のりは長いが、若く、そして不屈の精神を持つ少年たちならどんな試練も乗り越えられるだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

G20、米利下げ観測後退で債務巡る議論に緊急性=ブ

ビジネス

米EVリビアンが約1%人員削減発表、需要低迷受け今

ビジネス

USスチール買収計画の審査、通常通り実施へ=米NE

ビジネス

企業の資金需要DIはプラス4、経済の安定推移などで
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 4

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 7

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 8

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 9

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 10

    紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い.…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中