南の楽園に潜む闇 小児性愛、幼児ポルノの根絶目指すインドネシア
ジョコ・ウィドド大統領が厳罰化指示
世界最大のイスラム教徒人口を擁するインドネシアはイスラム教を国教とはせず、キリスト教、仏教、ヒンズー教なども認め「多様性の中の統一」を国是としている。とはいえその「多様性」は宗教に関するだけで、性的なマイノリティー、いわゆる「LGBT」には厳しい姿勢で臨んでおり、国際社会から人権侵害の指摘も受けている。
一方で、幼児ポルノに関してはポルノ自体が禁止されていることもあり、犯罪として処断される。また小児性愛に関してかつては寛容な一面もあったとされるが、現在は厳罰に処せられる。
その背景には現ジョコ・ウィドド大統領が、少年少女が犠牲となる犯罪に対し「犯人を厳しく処罰し、インドネシアの子供と女性を守らなくてはならない」という姿勢を打ちだし、罰則強化の大統領令まで出した強い姿勢がある。
教育界でもこうした大統領の姿勢を受けて、学校などで児童らに対し「自分の体には他人に見せること、触られることが決して許されない部分がある」と指導しているという。
インドネシア国内ではインターネットのポルノサイトへの接続は、警察などのサイバー犯罪捜査部門による監視と摘発が続いているためほとんど不可能といわれる。しかしその一方で「Lory Candy」の元メンバーらによる新たなネットでの幼児ポルノ拡大も発見されているとされ、厳しい監視とメンバー摘発の作戦が今も地道に続けられている。
[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など
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