報復関税より「手強い脅威」 米国企業が中国で直面したものは?
ゼロ成長
だが、より大きな脅威は、中国ライバル企業の追撃かもしれない。
調査会社カナリスのデータによると、中国スマホ市場におけるアップル製「iPhone(アイフォーン)」のシェアは2012年以降、10%程度にすぎず、中国のOppo(オッポ、広東欧珀移動通信)やVivo(ビボ、維沃移動通信)などの新興メーカーや通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)にシェアを奪われているという。
コーヒー文化がまだ新しい中国で人気のスターバックスは、第2・四半期の既存店売上高がゼロ成長だったと発表。同社はデリバリー問題を成長鈍化の理由として挙げたが、中国大都市圏で急成長する小規模な地元ライバル企業の台頭にも直面している。
脅威を感じているのは米国ブランドに限らない。欧州の貿易団体は最近、欧州ブランドが感じている主な懸念の1つとして、中国企業との「競争激化」を挙げている。
こうしたトレンドに逆行する米国企業も存在する。米モンデリーズが販売するクッキー「オレオ」の中国市場シェアは依然高い。また、2012年から16年にかけて、より健康的とみられるジュースや水にシェアを奪われていたコカ・コーラとペプシは、ともに昨年売り上げを回復した。
前出のベイン調査によると、中国ブランドは昨年、スキンケアやシャンプー、粉ミルクといった21の消費者向け製品分野において、海外ライバル企業よりも高い市場シェアを獲得。中国ブランドが昨年7.7%シェアを伸ばしたのに対し、海外勢はわずか0.4%の増加にとどまった。
「これは疑いようもないトレンドだ」。米大手消費財メーカーの上級幹部はそう語り、同社が中国で直面した最大の課題は、強い中国ライバル企業だったと付け加えた。