最新記事

救出劇

「2キロ痩せたが健康状態は良好」 タイ洞窟から生還のサッカー少年ら

2018年7月11日(水)16時45分

チェンライで11日、少年たちの健康状態について説明するタイの保健当局者ら(2018年 ロイター/Tyrone Siu)

タイ北部チェンライ県のタムルアン洞窟に2週間以上閉じ込められ、10日までに救出された地元サッカーチームの少年とコーチ計13人は、平均2キロ体重が減っているものの、健康状態はおおむね良好だと、当局者が11日明らかにした。

ストレスを受けた兆候も見られないという。

11─16歳の少年12人と25歳のコーチは先月23日、ひとりの少年の誕生日を祝うためミャンマーとの国境に近い洞窟に入った後、豪雨で水位が上昇したため出られなくなった。

捜索にあたった英国人ダイバーらによって2日、全員の無事が確認され、8日から救出活動が開始された。世界中の注目を集めた困難な脱出作戦によって、同日少年4人が救出されたのに続き、9日に4人、10日に残る5人が救出され、作戦は成功裏に幕を閉じた。

最後に救出された5人は、ヘリコプターで約70キロ離れた病院に搬送され、先に到着して治療を受けていたチームメートに合流した。

「われわれの見立てでは、彼らの状態は良好で、ストレスを受けた様子もない。少年たちは洞窟内で、十分にケアされた状態だった。彼らは平均で2キロ体重が減少した」と、タイの保健当局者は記者団に話した。

8日に救出された少年4人の親は、すでに病院で子どもたちと再会を果たしたが、感染を防ぐため保護服を着て、2メートル距離を置かなければならなかったという。

10日救出された5人のうち1人は、肺に感染症の症状が出ており、13人全員が狂犬病と破傷風の予防接種を受けたという。

タイのメディアは、少年らの救出のニュース一色となった。

紙面には「野生のイノシシ全員救出」の見出しが躍り、「Hooyah!任務達成」と、救出にあたったタイ海軍特殊部隊(SEAL)が使う掛け声を使って救助作戦の成功を宣言した見出しもあった。

救出にあたったタイ海軍SEALはフェイスブックに 「奇跡か科学か、何なのかは分からないが、13人全員が洞窟を出た」と投稿し、全員無事だと付け加えた。

17日間におよぶ救出作戦を指揮したチェンライ県のナロンサック・オサタナコーン元知事は、医師やタイ海軍特殊部隊(SEAL)のダイバーら救助に関わった全員が無事に洞窟を離れたことを確認、「誰も可能だと思わなかったことを成し遂げた」と語った。救出にあたった多国籍のチームに言及し、「ヒーローは世界中の人々だ」と付け加えた。

救助作戦に参加したオーストラリア警察当局者は、「人間の可能性というものは素晴らしい。素晴らしい人たちが、素晴らしい仕事をなしとげた」と、チェンライで記者団に話した。

[チェンライ(タイ) 11日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 ジョン・レノン暗殺の真実
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月16日号(12月9日発売)は「ジョン・レノン暗殺の真実」特集。衝撃の事件から45年、暗殺犯が日本人ジャーナリストに語った「真相」 文・青木冨貴子

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、FRB議長が利上げの可能性

ワールド

米、ベネズエラ沖でタンカー拿捕 一段と緊張高まる公

ビジネス

〔情報BOX〕パウエル米FRB議長の会見要旨

ビジネス

FRBはもっと利下げできたはず=トランプ大統領
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 2
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 3
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎の物体」の姿にSNS震撼...驚くべき「正体」とは?
  • 4
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 5
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「正直すぎる」「私もそうだった...」初めて牡蠣を食…
  • 8
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 9
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 10
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中