最新記事

中東

イスラエルとイラン、戦争で勝つのはどっちだ

2018年6月18日(月)11時30分
デービッド・ブレナン

イランの首都テヘランで2007年9月に開催されたイベントで行進する革命防衛隊 Morteza Nikoubazi-REUTERS

<対立を深める両国だが軍事力の規模とその内容を比較してみると>

イスラエルとイランは今や一触即発の状態にある。国際社会との核合意は崩壊寸前で、そうなれば核開発を再開するとイランは警告している。イスラエルはシリアにあるイランの軍事拠点を何度も空爆し、北部の国境地帯にイラン系の武装勢力が進出するのを阻止している。

どちらの国にも全面戦争に突入する気はないようだが、緊張が高まって不測の事態が起きる可能性はある。そしてどちらも、それなりの軍事国だ。

イランは国土の面積でも人口でもイスラエルを大きく上回るが、軍事力は数だけで決まるものではない。イスラエルは人口わずか850万だが、アラブ諸国に囲まれて、常に生存のために戦ってきた歴史がある。そのために最新テクノロジーの導入や有力な欧米諸国との関係強化に力を入れ、今では世界有数の戦闘能力を誇っている。

国別の軍事力を比較する組織「グローバル・ファイヤーパワー」によると、イスラエルの兵員数は約17万で、予備役は44万5000。ユダヤ人を中心とした18歳以上の国民が対象の徴兵制を敷く。

質ではイスラエルに劣るが、イランの軍事力も侮り難い。人口は8200万。兵員数は約53万4000で、予備役は40万。中東最大の兵力だ。

地上戦力では、イスラエルの戦車数が2760台でイランは1650台。イスラエルの主力戦車メルカバMk4は世界屈指の性能だが、イラン軍の戦車の大半は二級品だ。

イスラエル空軍は装備も訓練の質も世界レベルで、操縦士も経験豊富だ。戦闘機は約250機で、最新鋭のステルス機F35ライトニングⅡを含む。対するイランは古い戦闘機が約160機。操縦士の技術も経験も劣る。

両国に名高い特殊部隊が

防空体制では、イスラエルはパレスチナのガザ地区から発射されるロケット弾を迎撃する「アイアンドーム」を配備。遠距離からの攻撃には最大射程70キロの「パトリオット」がある。

イランは長年、革命前にアメリカから供与された防空システムを使っていた。最近はロシアに接近し、16年にロシア製の地対空ミサイルシステム「S300」を採用した。こちらの射程は160キロ以上で、イスラエルの最新鋭機にも対抗できそうだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米「夏のブラックフライデー」、オンライン売上高が3

ワールド

オーストラリア、いかなる紛争にも事前に軍派遣の約束

ワールド

イラン外相、IAEAとの協力に前向き 査察には慎重

ワールド

金総書記がロシア外相と会談、ウクライナ紛争巡り全面
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 3
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打って出たときの顛末
  • 4
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 5
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    主人公の女性サムライをKōki,が熱演!ハリウッド映画…
  • 8
    【クイズ】未踏峰(誰も登ったことがない山)の中で…
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 7
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 10
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中