最新記事

保護主義

トランプの輸入車関税引き上げ検討 国内外業界や米与党内が猛批判

2018年5月25日(金)10時35分

4月24日、トランプ米政権が検討している自動車の輸入関税引き上げを巡り、外国政府や海外自動車メーカーだけでなく米国内の業界団体および与党共和党の議員からも厳しい批判の声が上がった。写真はフォードの組み立て工場。ケンタッキー州で2012年6月撮影(2018年 ロイター/John Sommers II)

トランプ米政権が検討している自動車の輸入関税引き上げを巡り、外国政府や海外自動車メーカーだけでなく米国内の業界団体および与党共和党の議員からも厳しい批判の声が上がった。

米商務省は23日、乗用車やトラックなどの車両や関連部品の輸入が国内の自動車産業を侵害し、安全保障を脅かしたかどうか通商拡大法232条に基づき調査を開始すると発表。

全米商工会議所のドナヒュー会頭は声明で、「まさに守ろうとしている業界に想像を絶する悪影響を与えることになり、国際的貿易戦争を引き起こす恐れがある」と警告した。

米国および外資系の自動車大手で構成する米自動車工業会(AAM)は、トランプ政権に「自由貿易の障壁を取り除く」よう訴えるとともに、輸入自動車は国家安全保障へのリスクではないと確信していると表明し、輸入制限を支持しない姿勢を示唆した。

AAMによると、昨年は国内外の自動車メーカー13社が米国内で1200万台近くの自動車を生産。「同業界は引き続き、国内製品の主要輸出業者だ」と指摘した。

米政府統計によると、米国の昨年の自動車輸出は200万台近くで、額にして570億ドルに上った。自動車輸入は830万台で、総額1920億ドル。国別の輸入は、メキシコが240万台、カナダが180万台、日本が170万台、韓国が93万台、ドイツが50万台となった。

薄っぺらな論理

カナダのトルドー首相はロイターとのインタビューで、米国の輸入関税検討は薄っぺらな論理に基づいており、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉でカナダなどに圧力をかける意図があるとの見解を示した。

独IFO経済研究所のエコノミスト、ガブリエル・フェルベルマイヤー氏は、米輸入関税はドイツ国内総生産(GDP)を0.16%押し下げることになると推定。「想定される絶対的損失では、ドイツを上回る国はない」と述べた。

独自動車大手BMW、ダイムラー、フォルクスワーゲン(VW)は北米の高級自動車市場のシェアが合計で90%を上回っている。

ドイツのシュルツ財務相は、欧州連合(EU)は結束して米輸入関税の脅威に対抗する必要があると述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バチカン枢機卿、米・イスラエルに停戦求める 異例の

ワールド

イランガス田はイスラエルが攻撃、米・カタール関与せ

ワールド

カタール・エナジー、LNG施設にミサイル攻撃 火災

ビジネス

FRB議長、関税・イラン戦争による物価上昇を警戒 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 3
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 4
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 5
    モジタバの最高指導者就任は国民への「最大の侮辱」.…
  • 6
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 7
    ガソリン価格はどこまで上がるのか? 専門家が語る…
  • 8
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 9
    観客が撮影...ティモシー・シャラメが「アカデミー賞…
  • 10
    原油高騰よりも米国経済・米株市場の行方を左右する…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 6
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 9
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 10
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中