最新記事

東南アジア

インドネシアで爆弾テロ、13人死亡 キリスト教会3か所で連続発生

2018年5月13日(日)19時25分
大塚智彦(PanAsiaNews)

今回のスラバヤでの連続爆弾テロに関してはこれまでのところ犯行声明などは出されていないが、国家情報庁(BIN)ではISに感化されたインドネシアのテロ組織「ジェマ・アンシャルット・ダウラ(JAD)」が関与しているとみている。

BINによるとジャカルタの機動隊本部の暴動に関連してJADメンバーが当初はジャカルタで爆弾テロを実行しようとしたが、警備が厳重なため標的をスラバヤの教会に変更して今回のテロとなったという。

さらに13日午前にはジャワ島中部のチアンジュールで国家警察対テロ特殊部隊がテロ容疑者4人と銃撃戦になり、容疑者4人を射殺する事件があったが、この4人もJADの関係者とされ、新たなテロを計画中だったとしている。

社会的緊張が高まり厳戒態勢の中で発生

インドネシアでは毎年、イスラム教の断食月前後には社会的不安を高めようとする不穏分子や中東のテロ組織「イスラム国(IS)」に感化されたインドネシアのイスラム系テロ組織メンバーによる爆弾テロ、キリスト教会など宗教施設への攻撃、外国資本のホテルなどへのテロが増加する傾向がある。

2018年から2019年にかけてインドネシアは選挙という重要な政治日程が続くことから、政治勢力による対立が原因のヘイトスピーチや誹謗中傷が暴力行為に発展するケースも目立ち始めており、日本大使館ではその都度在留邦人に「注意」を喚起して警戒を呼びかけている。


otsuka-profile.jpg[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など

ニューズウィーク日本版 脳寿命を延ばす20の習慣
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年10月28日号(10月21日発売)は「脳寿命を延ばす20の習慣」特集。高齢者医療専門家・和田秀樹医師が説く、脳の健康を保ち認知症を予防する日々の行動と心がけ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロの外交への意欲後退、トマホーク供与巡る決定欠如で

ワールド

米国務長官、週内にもイスラエル訪問=報道

ワールド

ウクライナ和平へ12項目提案、欧州 現戦線維持で=

ワールド

トランプ氏、中国主席との会談実現しない可能性に言及
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない「パイオニア精神」
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    米軍、B-1B爆撃機4機を日本に展開──中国・ロシア・北…
  • 6
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 7
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 8
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 9
    増える熟年離婚、「浮気や金銭トラブルが原因」では…
  • 10
    若者は「プーチンの死」を願う?...「白鳥よ踊れ」ロ…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 8
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 9
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中