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中国の滴滴、宿敵ウーバー独占市場へ参入 剛腕手法は受け入れられるか

2018年3月27日(火)18時22分


上げ潮に乗る

総ユーザー数4億5000万人の中国市場で圧倒的なシェアを誇る滴滴出行は、利用件数ベースで世界最大の配車サービス企業だ。昨年は、ウーバーの2倍には届かないものの、74億件超の利用があった。

ウーバーは滴滴出行の剛腕ぶりを思い知らされている。

ウーバーは中国市場に食い込もうと巨額を投じたキャンペーンを展開した挙げ句、2016年には中国事業を滴滴出行に譲渡し、その代償として滴滴出行の株式を17.5%取得した。滴滴出行側でもウーバーに10億ドル投資している。

他市場を巡る競争の中で、この二大勢力はあいかわらず真っ向勝負を続けている。ウーバーはラテンアメリカで一番手となっており、海外市場ではブラジルとメキシコが同社にとって最大規模となっている。ベルリンに本拠を置く消費者リサーチ会社ダリア・リサーチによれば、メキシコでは、8月時点でウーバーが87%のシェアを占めている。

滴滴出行はこの状況に挑もうとしている。メキシコで従業員の採用を昨年開始し、ロイターはいち早くこの進出計画を報じた。同社はこの計画の公表を拒んでいるが、戦略の詳細は明らかになりつつある。

首都メキシコティーのフアレス地区にある、シェアオフィス「ウィワーク」ビルの9階に陣取った滴滴出行は、ゼロから事業を構築しつつある。インドや中東といった海外市場においては既存企業の株式を買収していた滴滴出行だが、メキシコではあまりにもウーバー優勢なので、地元の競合企業の中に目ぼしい投資機会が見当たらないという。

事情に詳しい2人の人物によれば、経験豊富な人材不足に悩む滴滴出行は、ウーバーの現旧従業員を積極的に採用しており、場合によっては2倍近い給与を提示することもあるという。

滴滴出行のメキシコ事業を率いるのは、ウーバーの古参幹部だったリン・マー氏だ。不首尾に終わったウーバー中国事業の立ち上げにも参加した人物だ。現在、滴滴出行の国際事業担当ディレクターを務める同氏は、「リンクトイン」のプロフィールによれば、昨年末に滴滴出行が買収したブラジルの新興配車サービス企業99の事業での経験もある。

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